車載イーサネットテストの先駆的企業が日本展開を強化:独Technica Engineering(3/4 ページ)
クルマの自動化/電動化が加速する中、既存技術に比べて高速大容量な通信が可能となる車載イーサネットの採用が進んでいる。この技術の黎明期からテスト/検証製品の開発やコンサルティングサービスなどを手掛けてきたのが、ドイツのTechnica Engineeringだ。今回、同社の事業開発部長、Erick Parra氏に事業内容や強み、新製品の概要などを聞いた。
進化するE/Eアーキテクチャ/ECUで高まるテストと検証への要求
こうしてE/EアーキテクチャおよびECUが進化するなか、テスト/検証の分野で求められるのが下図の内容だ。
車載イーサネットの通信はポイントツーポイント接続で構成されるため、ネットワーク形成のためにスイッチが必要となる。また、従来のCAN、LIN、FlexRayなどと比べ帯域幅は広くなり、通信プロトコルはより複雑に。AVB(Audio Video Bridging)プロトコル(特に時刻同期)およびTSN(Time-Sensitive Network)プロトコルの必要性も高まるほか、計測技術自体やコントロールユニットの構成も複雑となる。
より多くのコミュニケーションを行うことになるため、セキュリティも重要だ。ソフトウェアレベルでは、TLS、DTLS、SecOCおよびIP Secがある。また新たなトレンドとして、暗号化技術「MACsec」対応車載イーサネットPHY(物理層トランシーバー)も登場しており、Parra氏は、「これにより車内の安全性が非常に高まる。まだ導入されたばかりだが、われわれはこの分野の先駆者として活動している」と述べていた。さらにCAN、LIN、FlexRayなどの"レガシー"車載ネットワーク技術を一部残す必要があることからも、ゲートウェイへの要求が高まっている、としている。
ADAS/ADおよびインフォテイメントの分野で課題をみると、ADAS/AD分野では、さまざまなメーカーから作り方や通信方法などが異なる多くのセンサーが提供されていることから、「たとえ他のメーカーのものであっても、互いに完璧に連携し、同期させることが非常に重要であり、試験や検証の複雑さが増している。時刻同期は常に複雑な問題だ。しかし、テストツールは帯域幅や技術、プロトコルの要件を適切に満たさなければならない」(Parra氏)。また、インフォテインメントの分野でも高精細機能やオープンインタフェースへと進化していくことで、「広帯域幅、多機能/プロトコル、それに応じた複数の車載イーサネットインタフェースが必要となる」とした。
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