ルネサス、1GHz動作の64ビットMPUを開発:高速起動と高精細HMIを両立
ルネサス エレクトロニクスは、最大動作周波数が1GHzの64ビットマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/A3UL」を開発、量産を始めた。RTOSベースのMPUで起動が速く、データ転送性能に優れたメモリインタフェースを搭載したことで、より高度なHMIを実現することができる。
DDR3L/DDR4メモリインタフェースもサポート
ルネサス エレクトロニクスは2022年8月、最大動作周波数が1GHzの64ビットマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/A3UL」を開発、量産を始めた。RTOSベースのMPUで起動が速く、データ転送性能に優れたメモリインタフェースを搭載したことで、より高度なHMI(Human Machine Interface)を実現することができるという。
RZ/A3ULは、Arm Cortex-A55コアをベースとしたMPU。LCDコントローラや、Octal-SPIメモリインタフェースあるいはDDR3L/DDR4メモリインタフェースなどの機能も集積した。DDR3L/DDR4メモリインタフェースは、Octal-SPIメモリインタフェースに比べ約10倍のデータ転送性能がある。高速DRAMを外付けすることで、HD(1280×720画素)クラスのディスプレイ表示に加え、よりインタラクティブで高度なHMIを実現することが可能になるという。
RZ/A3ULが対応するRTOSは、「FreeRTOS」と「Azure RTOS」である。ルネサスは、RZファミリーでAzure RTOSのライセンスプロバイダーとなっている。このためRZ/A3ULユーザーは、GitHubからAzure RTOSをダウンロードするだけで、容易に利用することができるという。また、FreeRTOSとHALドライバーを含むフレキシブルソフトウェアパッケージもレファレンスとして提供している。
RTOSは高速起動が可能である。産業機器や家電、OA機器の液晶ディスプレイや操作パネル、音響機器、POS端末などにおいて、電源投入から1秒以下という短い時間で機器を立ち上げることができる。
RZ/A3ULは、13mm角のBGAパッケージで供給する。なお、LinuxベースでCortex-A55コアを搭載した「RZ/G2U」や、RISC-Vコア搭載の「RZ/Five」とは、周辺機能やパッケージで互換性を持たせている。このため、基板の設計資産を活用しつつ、プロセッサを置き換えるだけで、異なる製品としての展開も可能である。
ルネサスは、RZ/A3ULを用いたウィニング・コンビネーションとして、SMARC 2.1準拠モジュール「RTOSベースのRZ/A3UL HMI SMARC SOM」ソリューションも用意している。これには、パワーマネジメントIC「DA9062」やプログラマブルクロックジェネレーター「5P35023」、フラッシュメモリ「AT25QL128A」、システムリセットなどが実装されたGreenPAK「SLG46538」を搭載。レファレンスデザインとして活用すれば、開発期間を短縮することが可能となる。
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