Micron、CHIPS法成立で米国に400億ドル投資へ:米国が「世界最先端のメモリ製造拠点」に(1/2 ページ)
2022年8月9日(米国時間)、世界第3位のメモリメーカーであるMicron Technology(以下、Micron)は、法案「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)」の可決に伴い、400億米ドルを投じて米国での生産活動を拡張する計画を発表した。
2022年8月9日(米国時間)、世界第3位のメモリメーカーであるMicron Technology(以下、Micron)は、法案「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)」の可決に伴い、400億米ドルを投じて米国での生産活動を拡張する計画を発表した。
「CHIPS」は「Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors(対訳:半導体の生産に役立つインセンティブを創出する)」の略であるが、この法案は半導体部品の域を超えたものである。
CHIPS and Science Actでは、米国で投資を行い、中国での拡張を制限した半導体企業に対し、約520億米ドルのインセンティブや研究助成金が提供される。
MicronのCEO(最高経営責任者)であるSanjay Mehrotra氏は、報道発表資料の中で「この立法上の重要なマイルストーンを受けて、当社は今後丸10年をかけて最先端のメモリ製造に400億米ドルを投資するコミットメントを発表する。これは米国でこれまでメモリに対して行われた中で最大の投資となる。CHIPS and Science Actによって実現する、今後予測される助成金や控除のおかげで、Micronは自信を持ってこの重要な長期的な投資計画を前進させることができる」と述べた。
この法案は、TSMC、Samsung Electronics(以下、Samsung)、Intelなど世界規模の主要半導体メーカーによる米国内での数十億米ドル規模の投資も呼び込んだ。世界半導体生産で米国が占めるシェアが縮小する中、政治リーダーや半導体業界団体は、米国の半導体業界のリショアニングを模索してきた。半導体は、自動車から武器システムに至るまで、重要な製造プロセスには欠かせない部分であるためだ。
世界で生産される半導体の3分の2以上は、台湾、韓国、中国といったアジア諸国で生産されており、米国が占めるのは約12%である。ドナルド・トランプ前大統領の政権から、米国は中国を5G(第5世代移動通信)、AI(人工知能)、宇宙探査といった新たな事業を成長させる上での「戦略上の敵国」として扱うようになった。
米国アイダホ州ボイシを拠点とするMicronは、400億米ドルを投じる特定の地名を挙げなかったが、今後数週間のうちには詳細を明らかにすると述べた。
Mehrotra氏は「当社が米国で計画している投資により、Micronでの5000人の高賃金の技術職やオペレーター職を含め、最大で4万人もの雇用が創出される。最先端の技術ソリューションに使われる最も高度なメモリには、“メイドインアメリカ”というラベルが誇らしげに貼られるようになるだろう」と述べた。
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