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主要半導体メーカーの決算コメントから今後を見通す大山聡の業界スコープ(56)(1/3 ページ)

今回は、PCやスマホ市場比率の高い半導体メーカーの決算コメントに目を向け、各半導体メーカーが今後の見通しをどのように考えているのか、整理してみたい。

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 本連載前回、「潮目が変わりつつある世界半導体市場」の背景として、PCとスマホの需要見通しが下がっていること、デバイス別ではメモリ市場の落ち込みが大きくなりつつあることなどについて書かせていただいた。しかし、筆者が日ごろ、接点を持っている日本の業界関係者と話していると、潮目の変化があまり感じられない、というコメントが多い。そうした関係者の多くは、車載機器や産業機器など比較的需要の堅調なアプリケーションとの関わりが強く、PCやスマホ市場が下振れても関係ない、というところだろう。一方で、大手電子部品メーカーの各社はこれらの下振れを非常に懸念しているのが実情である。今回は、PCやスマホ市場比率の高い半導体メーカーの決算コメントに目を向け、各半導体メーカーが今後の見通しをどのように考えているのか、整理してみたい。

久々の赤字決算に陥ったIntel

 2022年7月28日に発表されたIntelの4〜6月期決算によれば、売上高は前年同期比17%減の153億米ドル、営業利益は同62億米ドル減の7億米ドルの赤字、当期利益は同55億米ドル減の5億米ドルの赤字。実に2017年10〜12月期以来の赤字決算に終わった。特にCCG(Client Computing Group)の売上高が同25%減と大きく落ち込み、PC向けが不調に終わったことを裏付けている。もう1つの柱であるDCAI(Data Center and AI Group)も同17%減という落ち込みであった。7〜9月期の売上見通しとしては、同12〜17%減と前年割れが継続すると見込んでおり、2022年トータルで見ても同9〜13%減、という厳しい見通しのようだ。

 世界半導体市場統計(WSTS)の出荷実績を見ると、MPU市場は4月、5月と前年を下回る結果になっていたが、Intelほどの落ち込みにはなっていない。せいぜい1ケタのマイナス成長なので、今回の赤字決算はIntel自身が抱える問題によるところが大きいだろう。PC市場におけるシェアの下落に加えて、サーバ向けプロセッサの開発の遅れが長期化していることは、かなり深刻な問題と考えるべきだろう。結果としてTSMCの3nmプロセスへの大型発注も見直しを余儀なくされているようだ。これまで、半導体業界の王者として市場をけん引してきたIntelだが、今はかなり厳しい状況下に置かれている、と言わざるを得ない。

サーバ向け需要に強気のSamsung

 2022年7月27日に発表されたSamsung Electronicsの4〜6月期決算によれば、売上高は同21%増の77.2兆ウォン、営業利益は同12%増の14.1兆ウォン、当期利益は同15%増の11.1兆ウォン、という実績であった。半導体を含むDS(Device Solutions)部門を見ると、売上高は同24%増の28.5兆ウォン、営業利益は同44%増の9.98兆ウォンと大きな伸びを記録している。メモリ需要に関しては、サーバ向けの需要は堅調だが民生用(PC、スマホ)向けの需要が下振れている、とのこと。7月以降の見通しとしては、サーバ向けは堅調だがPC、スマホ向けは下振れが続くだろう、と見込んでいる。具体的な数値目標は開示していないが、サーバ向けのメモリ需要を強気に見込んでいる点はSamsungの特長といえそうである。ただし、メモリ市場全体の見通しにはかなり慎重な見方をしている。

 WSTSの出荷実績を見ると、米州メモリ市場(大半がサーバ向け)は2022年5月まで好調に推移していたが、6月に前年を下回るマイナス成長に落ち込んだ。7月以降の動向を注意深く観察する必要があるが、強気な見方をする要素が乏しいのではないか、Samsungは何を根拠に強気な見方を維持しているのか、気になるところではある。

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