検索
連載

老後を生き残る「戦略としての信仰」は存在するのか「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(6)(3/12 ページ)

今回は、「老後を生き残る「戦略としての信仰」」をテーゼに掲げて検討していきます。宗教は果たして私を幸せにしてくれるのか――。それを考えるべく、「江端教」なる架空の宗教団体をベースに話を進めます。

Share
Tweet
LINE
Hatena

カルト宗教にもいろいろ種類がある

 宗教にもいろいろあります。例えば、山岳、海洋、河川等のような自然を対象とした宗教もありますが、多くの宗教は、基本的に「教祖」がいます。で、現在、社会問題となっているカルト宗教のほとんどは、まだ教祖が生存しているか、あるいは没後数十年を経過していないものが多いようです。

 100年以上を経過しても生き残っている、という宗教は、反社会的、社会通念上の常識に著しく反する教義を、修正して、うまいこと大衆に溶け込むことに成功しているのです。

 さて、カルト宗教の教義について説明したいと思います。私の見たところ、カルト宗教の教義の内容は、大きく2つに分けられます。

(1)完全オリジナル教義 ―― 例えば、江端が「数字教」とか「量子教」など作って立ち上げるケースが、それに相当するかもしれません*)

*)次回、『江端の江端による江端の老後戦略のためのオリジナル宗教の作り方』を検討したいと思っています。

(2)既存宗教の剽窃(ひょうせつ)教義 ―― 主には世界の3大宗教である、仏教、キリスト教、イスラム教を引用しつつ(パクりつつ)、その後の内容を改竄(かいざん)するというものです。

 この(2)の方法は、なかなかずるい・・いや、うまいやり方なのです。上記(1)のようなオリジナルの教義を一から布教するのは、結構大変な作業です。それなら、超有名どころの宗教をパクって、部分変更してやれば、随分とラクできます。

 そして、この剽窃(ひょうせつ)型の落とし所は、決まっています。

―― 私が、最終メシア(メシア the final)である

と、言い張る奴が教祖になることです。

 キリスト教を剽窃する宗教団体は、世界中に山のようにありますが、カトリックもプロテスタントも、そのようなカルト宗教団体を、キリスト教であるとは認めていないようです。それもそのはずです。ほとんどのキリスト教系のカルト宗教団体の教義は、聖書の内容を『豪快に踏み躙る(ふみにじる)』内容になっているからです。

 私は、『これら多くのキリスト教系カルト宗教団体の教義は、新型コロナウイルス感染症のパラダイムで把握できる』、と考えました。以下、私の案出したパラダイムを使って説明したいと思います。

キリスト教系カルト宗教団体の教義は、コロナのパラダイムで把握できる

 旧約聖書には『失楽園』の話が登場します。ヘビにそそのかされたアダムとイブが、神の禁を破って「善悪の知識の木」の実である「禁断の果実(リンゴ)」を食べ、最終的にエデンの園を追放されるというものです。

 人類最古のカップルが、神の命令に背くことで、そのカップルから生まれた子孫である全人類がその罪(原罪)を負わされるという、(アダムやイヴと一度も面識もない私たちにとっては)非常に理不尽な話です。『アダムとイヴが何をやろうと、何でそれが私に関わってくるんだ?』と ―― 正直、私もそう思います。

 この失楽園の話は、不当な裁判の結果、イエス・キリストがゴルゴダの丘で十字架にかけられ、全人類の原罪の罪を代行することによって、人類は、この原罪が許される、というストーリーとして完結します。

 私にはよく分かりませんが、これがキリスト教を信仰する非常に重要な意義になっているようです ―― 私には、ただのマッチポンプ(勝手に事件を起こして、勝手に事件を解決すること)にしか思えませんが ―― とにかく、キリスト教にとって、この"原罪"の話は、教義の根幹に関わる重要なストーリーなのです。

 ともあれ、アダムとイヴのやらかした「リンゴ食」によって、私たちは生まれながらに、"原罪"というウイルスに感染して生まれてくる ―― という話になっています。

 さてここで、イエス・キリストを「信仰する」という ―― この行為を、『イエス・キリスト製ワクチンを接種する』というパラダイムで考えてみたいと思います ―― イエス・キリスト製のワクチン接種によって、このウイルス(原罪)が消えてなくなるからです。

 私は、2000年前のゴルゴダの丘の処刑によって、ウイルス(原罪)が天然痘と同じように、完全撲滅されたと思っていたのですが、その理解は間違っていました。つまり、「イエス・キリスト製ワクチンの接種(=キリスト教への信仰)」を実施しないと、ウイルス(原罪)で、人間はいつまでも苦しみ続ける、ということになっています ―― 厄介で面倒で迷惑な話です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る