日本への投資を強化するTSMC、大阪にも研究開発拠点:2022年内にも開設(1/2 ページ)
TSMCは2022年9月2日、ハイブリッドで開催された「TSMC Technology Symposium Japan 2022」に併せて記者説明会を開催し、同社 ビジネスディベロップメント担当シニアバイスプレジデントのKevin Zhang氏が、TSMCの最先端の技術などを紹介した。
日本でのビジネスが順調に拡大、投資も強化
TSMCは2022年9月2日、ハイブリッドで開催された「TSMC Technology Symposium Japan 2022」に併せて記者説明会を開催し、同社 ビジネスディベロップメント担当シニアバイスプレジデントのKevin Zhang氏が、TSMCの最先端の技術などを紹介した。
TSMCの2022年第2四半期の売上高は、前年同期比36.6%増となる180億米ドルだった。2022年の資本的支出(Capex)は400億〜440億米ドルになる見込みで、そのうち7〜8割は2nmプロセスをはじめ先端プロセステクノロジーに投入する計画だ。
TSMCジャパンの代表取締役社長を務める小野寺誠氏は「5G(第5世代移動通信)やHPC(High Performance Computing)分野からのニーズもあり、半導体は今後も成長していく。日本でのビジネスも、本社全体に比べてそん色のない形で順調に伸びており、この5年ほど、ウエハー出荷量は毎年前年超えを達成している。2021年の出荷量は12インチ換算で120万枚を越えた」と語った。
TSMCのDeputy Spokesperson, Head of PRを務めるNina Kao氏は、「2020年1月にTSMCデザインテクノロジージャパンを設立したのを皮切りに、2021年3月には茨城県つくば市にTSMCジャパン3DIC研究開発センターを設立、同年12月にはJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)を設立と、2年間で3つの新会社が日本に設立された。さらに現在、大阪にオフィスを設立しているさなかで、これは2022年後半にもオープンする見込みだ」と述べた。
なおJASMは、2024年までに生産を開始する予定で、当初は12nm/16nm、22nm/28nmのチップを製造する。300mmウエハーの生産能力は月産5万5000枚になる見込みだ。
日本で立て続けに新しい拠点を設立しているTSMCは、人材の確保も進めている。Zhang氏は「日本は素晴らしい人材の宝庫であり、市場としても重要だ。その日本に、拠点を設置しない理由はない」と強調。小野寺氏は「TSMCは、顧客によりよいサービスを提供すべく、グローバル化を進めている。デザインセンターは、既に米国、カナダ、中国に所有していて、グローバル化の強化の一環として、日本でのデザインセンター設立を推進してきた。日本には経験豊かなエンジニアが多く、新卒採用も含め、計画を前倒しする形で雇用を進めている」と付け加えた。
2025年には「N2」プロセスの量産を開始
説明会でZhang氏はTSMCの技術の進化をあらためて紹介。特に2018年に量産を開始した7nmプロセスについては、「最先端のシリコンを“民主化”(あらゆる分野で活用できるようにしたという意味)し、多くのイノベーションの扉を開いた」と強調した。現在、TSMCのプロセスノード別売上高は、7nmが30%と最大になっている。
同氏は「日本でも3DIC研究開発センターを設立したことも分かるように、今後は3D(3次元)化がさらに重要になる」と付け加えた。
技術プラットフォームについては「3nm世代プロセスの『N3』がこれからの主力となる」とし、N3の派生プロセスや、2025年の生産開始を見込む「N2」の開発も進んでいると述べた。研究開発のために膨大な投資を継続していることにも触れ、「最先端半導体の研究開発は、膨大な資金(同氏は「大きなポケット」と表現した)を持っていなければ不可能だ。常に努力し、懸命に働かなければ成長できない」(Zhang氏)
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