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インタビュー

「AIモデル生成+MCU」で産業用エッジAIの拡張を狙うルネサス Sailesh Chittipeddi氏(2/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年7月、組み込みAI(人工知能)ソリューションを提供するReality Analytics, Inc.(以下、Reality AI)の買収完了を発表した。今回の買収には、どのような狙いがあったのか。ルネサスのIoT・インフラ事業本部(IIBU)でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSailesh Chittipeddi氏に話を聞いた。

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産業分野でエッジAIの活用を広げる

――ルネサスは、2017〜2018年ごろからエンドポイントAIに力を入れてきました。AIモデルを、ルネサスのマイコン/MPUに実装できる「e-AIツール」も提供しています。Reality AIのソリューションも、e-AIツールに統合されるのでしょうか。


ルネサスの「e-AIツール」[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

Chittipeddi氏 e-AIツールでは、AIモデルとしてReality AIのソリューションを使用できる。上図で言うと、図中の「AI training」の枠内にある「Trained AI model」の部分だ。ここで、Reality AIあるいは、サードパーティー製のソリューション(AIモデル)を使用することになる。

――Reality AIは産業分野と自動車分野に強みを持っていますが、今後のターゲット市場について教えてください。

Chittipeddi氏 産業分野と自動車分野からスタートし、ゆくゆくはIoT分野も視野に入れている。ただ、市場規模が大きいのはやはり産業機器なので、ビジネス機会が大きいこの分野をメインターゲットに据えている。

――Reality AIの技術で生成したAIモデルをルネサスのMCUに実装した場合、どんなメリットを得られるのでしょうか。

Chittipeddi氏 Reality AIの技術とルネサスのMCU/MPUを組み合わせることで、産業分野の幅広いアプリケーションにエンドポイントAIの活用を広げていく。例えば、HVACやマイニング機器は高額なので、予知保全が重要になる。Reality AIの学習済みAIモデルは、マシンの不具合や故障につながる条件を細かいパラメーターで学習済みで、これをルネサスのMCUに実装する。このMCUをモーター制御などに使用することで、予知保全を行い、本格的に故障する前や、不具合を検知したときに、システムを停止することなどができるようになる。


Reality AIの技術は、幅広い産業用途に適用できる[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 MCUでは主にArmコアの「RAファミリ」、独自コアの「RXファミリ」、MPUではArmコアの「RZファミリ」のユーザーに、Reality AIと連携して機能するソリューションを提案し、既存の顧客基盤を拡張していく。

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