「2030年に時価総額6倍を目指す」 ルネサスCEO:長期的な成長戦略に舵を切る(2/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2022年9月28日、アナリストや報道機関向けに、戦略について進捗やアップデートを説明する「Progress Update」を開催した。社長兼CEO(最高経営責任者)を務める柴田英利氏は、「これまでは、短期的に成果を上げるべく、スピード感を重視した経営を行ってきた。半導体不足の影響による追い風などに助けられつつ、一定以上の成果を出せたと自負している。ここからは、腰を据え、投資のアクセルも踏みながら、長期的な目線で胆力のある経営を行っていきたい」と語った。
ファブライト化で「各工場の位置付けを明確に」
「土台」となる要素の一つが多様性だ。ルネサスは、主にM&Aによって、プロダクトミックスからR&D拠点、ターゲットとする市場セグメント、従業員の出身に至るまで、多様化を進めてきた。
「この先も(多様化を)延々と続けるわけではないが、もう少し集中や偏りがなくなり、全体的にバランスのよいパイチャートになればよいと考えている」(柴田氏)
ファブライトも、ルネサスが以前から取り組んできた戦略の一つだ。前工程、後工程ともに外部委託(ファウンドリーやOSAT[Outsourced Semiconductor Assembly and Test]の使用)を増やしてきた。2022年上半期時点において、内製の割合は前工程、後工程ともに43%と半分以下になっている。
柴田氏は「今後も、自社工場への投資は行っていく」としつつ、全体的にはファウンドリー/OSAT委託の割合をもう少し増やしていくと述べた。特に前工程では、「自社工場とファウンドリー、それぞれの位置付けを、より分かりやすくしていく」と述べる。例えば、先端プロセスではファウンドリーを使用する。より成熟したプロセス(40nmプロセスノードより古いもの)では、自社工場とファウンドリーを利用する“ハイブリッドモデル”とする。
さらに、単に内製とファウンドリーを使い分けるだけでなく、自社の工場の位置付けを明確にしていく。那珂工場(茨城県ひたちなか市)の300mmウエハーライン(N3)、川尻工場(熊本県熊本市)、西条工場(愛媛県西条市)など、成熟プロセスを使用する工場では、アナログ製品やMCUの生産量を増加する。一方でパワー半導体の生産については、再稼働を発表した甲府工場(K6/山梨県甲斐市)、那珂工場の200mmウエハーライン(N2)、高崎工場(群馬県高崎市)に集約していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.