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老後を生き残る戦略として「教祖(仮)」になってみた「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(7)(5/10 ページ)

前回に続き、老後の生き残り戦略の一つとしての信仰を考えてみます。今回、私は「教祖(仮)」となり、「教祖ビジネス」についてさまざまな角度から検討してみました。

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教団を運営してみよう

 教義ができた後は、教団を運営しなければなりません。宗教法人を得るためには、実体的な活動が必要です。どんな組織であれ、表に出せる運用(表向きの要件)と、隠蔽しなければならない運用(裏向きの要件)がありますが、―― 特に、それが「愛」だの「平和」だのという無体物の実現をKPI(重要業績評価指標)としなければならない宗教団体では、それは露骨なものになります。

 「表向きの条件」では、法人格を得るためにも、(3)定期的なイベントの実施、(4)集会場は必要でしょう。また、信仰の対象としての(5)オブジェ(偶像)も必要です ―― オブジェを安く上げようとするなら、「私の写真」でしょうか。他人に自分の写真を持たれると思うと『気持ち悪い』です。 ―― アイドルやっている人の胆力ってすごいです。

 あとは、(1)お金持ちは、教団運営に不可欠なパトロンです。また、運営をしやすくするのに、(2)同族経営は良い手段になります。不都合な教団内部の情報隠蔽にも一役買いそうです。

 後は、(6)試練(7)儀式も必要です。教団を維持するためには、ピラミッド型の階層構造が必要で、試練を経ることで、階層を上がっていく(出世していく)仕組みを作ることで、教団内での競争原理を作り、命令指揮系統の刷新も可能です。そして儀式によって、それを権威付けることも必要です。

 と、ここまでが、「表向き」で、ここからが「裏向き」の運営の話になります。

 「(A)他教団をこきおろす」「(B)異端を粛清する」のは、教祖の大切な仕事です。自分の教団の差別化ポイントを明確にするためでもありますが、他の教団から憎まれることで、教団内部の団結を図れるという効果が得られ、かつ、教団の運営をしやすくするためです。

 それに、教祖になる以上、苦言などをしてくる人間を追い出して、日々気持ちよく独裁運営をしてきたいと思うのは、当然です。

 「(C)世間に迫害される」というのは、言い直すのであれば「世間に迫害されるような教義」でなければ、生き残れない、ということです。世間の価値観と一致しているような宗教団体を設立することに価値はありません。

 「世間に迫害されるような教義」というものの過激な一例としては、例えば、―― 血縁婚(兄弟婚、姉弟婚、兄妹婚、姉妹婚、親子婚)の合法化、くらい、ぶっとんでいる必要があると思います(筆者のブログ:「「高齢者を組織のトップから、ナチュラルに排除」する技術」)。

 「(D)献金の集金システムを確立する」ことや、「(E)政治家/行政とのコネを確立する」ことが重要であることは、今回の、元首相暗殺事件によって露呈した、行政府や与党政権との癒着から明らかになりました。

 後述しますが、これまで、教団解散命令、または命令発動前に破産した教団は、問題となっている教団と比較すると、いずれも「政治家/行政とのコネ」を軽視していた感があります。権力との癒着は、宗教団体を存続させるために、必要不可欠なのです。

 あと「(F)法律に精通する」ことも重要です。今回問題となっている宗教団体は、法律の設立への干渉や、法律施行日前後の献金の運用方法などを、かなり緻密にコントロールしている印象を受けます(消費者契約法第4条3項5号、6号等)。宗教の目的は、新しい価値の創成とその布教にありますが、法律違反によって、教団を解散されては元も子もありません。

 国家権力や司法との適度のバランス感覚、違法スレスレの教団運営は、教祖にとっては重要なミッションなのです。

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