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東レ、MLCC離型用ポリエステルフィルムを増産:岐阜工場の生産能力を1.6倍に
東レは、MLCC離型用のポリエステルフィルム「ルミラー」について、生産能力を増強すると発表した。岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造し、生産能力を現在の1.6倍に増やす。2025年に稼働予定。
5Gや電動化車両の普及拡大に対応、設備投資額は80億円
東レは2022年10月、MLCC(積層セラミックコンデンサー)離型用のポリエステルフィルム「ルミラー」について、生産能力を増強すると発表した。岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造し、生産能力を現在の1.6倍に増やす。2025年に稼働予定。
東レグループは、MLCC離型用フィルムの大手メーカー。今回、生産能力の増強を決めた岐阜工場の他、三島工場(静岡県三島市)とマレーシアおよび、韓国の3カ国4拠点で生産し、顧客に供給してきた。同社のルミラーは、極めて平滑であり、セラミック層を薄く凹凸なく仕上げることができるため、MLCCの小型、高容量化に貢献しているという。
MLCCは、5G(第5世代移動通信)の普及が本格化する通信分野や、電動化車両(xEV)の普及拡大などから、今後も年率10%以上の成長が見込まれている。そこで同社は、離型用フィルムの最大消費地である日本において、工場の生産能力増強を決めた。今回の設備投資額は80億円である。
新ラインが稼働すれば、MLCC離型用フィルムの生産能力としては国内最大級になるという。将来の薄膜化、高平滑化などにも対応できる製造ラインとなっている。さらに、使用済みフィルムを回収、再利用する循環型リサイクルへの対応も想定しているという。
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