スマートホーム規格「Matter」が始動、バージョン1.0が登場:認証プログラムも開始(2/3 ページ)
標準化団体「CSA(Connectivity Standards Alliance、旧ZigBee Alliance)」が2022年10月4日(米国時間)、「Matter 1.0」規格をリリースし、Matter認証プログラムが始動した。CSAはこれにより、主にスマートホームにおけるIoT(モノのインターネット)コネクテッドデバイス間の相互運用性向上を目指していく。
Wi-Fi、Threadとのパートナーシップ
Wi-Fi AllianceとThread Groupの両者は、CSAとの協業により、Matterの完全なビジョンの実現に向けたサポートを提供していく。Thread GroupのプレジデントであるVividh Siddha氏は、「MatterとThreadは、スマートホームの相互運用性およびコネクティビティの問題を解決することができることから、メーカーは、他の付加価値があるイノベーションに注力できるようになる。Threadは、各追加デバイスとの応答性や信頼性を高めることが可能な自己回復メッシュネットワークを構築するほか、その超低消費電力アーキテクチャで電池寿命を延ばすことも可能だ。ThreadとMatterとを組み合わせることにより、製品メーカーに幅広い選択肢を提供すると共に、消費者に大きな価値を提供できるようになる」と述べている。
Wi-Fi Allianceのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるEdgar Figueroa氏は、「Matterは、Wi-Fiの優れたネットワーク効率や、現在世界各国で180億台以上のデバイスが使われているという世界的な普及率、標準ベースの堅牢な基盤などを活用することにより、IoTビジョンを打ち出していく。『Wi-Fi CERTIFIED』とMatterとを組み合わせることで、シンプルかつセキュアな相互運用性を実現し、幅広い種類のIoTデバイスで優れたユーザーエクスペリエンスを提供できるようになる」と述べている。
Amazon、Apple、Googleなどメンバー数は280超
CSAのプレジデント兼CEOであるTobin Richardson氏は、「コネクティビティの複雑性の問題を解決するためのミッションとして始動したMatterは、単一のグローバルIP(intellectual property)ベースプロトコルとして、今後IoTを根本的に変えていくことになるだろう。Matterのリリースは、われわれのコミュニティーや業界が、場所を問わず全ての人々に向けて、もっとシンプルかつセキュアで価値のあるIoTを実現するための道のりにおける、最初の一歩となるだろう。大小さまざまな企業からのグローバルなサポートを受けた今回のMatter 1.0リリースは、われわれの組織およびメンバーにとって、単なるマイルストーンの枠を超えたその可能性を称賛すべき成果だといえる」と述べている。
メンバー企業の数は280を超えており、その中にはAmazonやApple、Comcast、Google、Signify、SmartThingsなどが名を連ねる。それぞれの技術や経験、イノベーションを統合することにより、Matterが、ユーザーやメーカー、プラットフォームなどのあらゆる利害関係者たちのニーズに確実に対応できるようにすることを目指していく。これらの企業は共に、要件/仕様開発や参照設計、複数のテストイベント、最終的な仕様検証などを行うことによって、このような業界マイルストーンに到達するための道を先導してきた。
Googleは、全てのMatterデバイスをシームレスに接続/制御することを目的としたMatter内蔵の最新Wi-Fiルーター「Nest WiFi Pro」を発表した[クリックで拡大] 出所:Google
アライアンスの理事会議長であり、Legrand Digital Infrastructureの研究開発担当マネジャーを務めるBruno Vulcano氏は、「アライアンスメンバーによる力強い真摯な取り組みなしに、今日の成果を達成することはできなかっただろう。何千人ものエンジニアたちや知的財産、ソフトウェアアクセラレータ、セキュリティプロトコル、財源などを提供してくれたおかげで、1社の企業だけは決して成し得なかった成果を実現することができた。Matterは、メンバー企業が世界各国に均等に分散しているため、単一の地域や大陸だけではなく、あらゆるメーカーや顧客、消費者などにも等しく利益を提供することが可能な、真のグローバルな取り組みを実現したといえる」と述べる。
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