TIが新300mm工場稼働開始、アナログ半導体生産を拡大:数年以内にはフル稼働(1/2 ページ)
Texas Instruments(TI)は2022年9月29日(米国時間)、米国テキサス州リチャードソンの新しい300mmアナログウエハー工場「RFAB2」において、半導体の初期生産を開始すると発表した。このRFAB2は、2009年から稼働している300mmアナログウエハー工場「RFAB1」と連結され、数年後には、両工場の1日当たりのアナログ半導体生産量は計1億個を超える見込みだという。
エレクトロニクス業界においてアナログ分野が急成長を遂げている。Texas Instruments(TI)は2022年9月29日(米国時間)、米国テキサス州リチャードソンの新しい300mmアナログウエハー工場「RFAB2」において、半導体の初期生産を開始すると発表した。このRFAB2は、2009年から稼働している300mmアナログウエハー工場「RFAB1」と連結され、数年後には、両工場の1日当たりのアナログ半導体生産量は計1億個を超える見込みだという。
既存施設と合わせクリーンルームは63万平方フィートに
TIのバイスプレジデントで、アナログシグナルチェーン事業部門のインタフェースプロダクツ担当ゼネラルマネジャーを務めるRoland Sperlich氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、「われわれは投資戦略として、これらの製品に最新の高度製造プロセスを適用していく。それが、小型化やパッケージサイズの縮小、低コスト化を実現するための方法だ。われわれのコアバリューの一つは、半導体とその実装コストを削減することだ」と述べている。
RFAB2は、世界初の300mmアナログウエハー工場であるRFAB1を拡張する形となる。両工場のクリーンルームスペースは、合計で63万平方フィート(約5万8500m2)に達する。また、15マイル(約24km)の自動オーバーヘッドトラックによって、両工場間でウエハーをシームレスに移動させることが可能だ(今回のTIの生産能力拡大については、それほどの驚きはないといえる。同社の経営幹部は2022年1月25日の業績発表の場で、顧客企業が、当時まだ建設中だったRFAB2新工場も含めた生産能力について、高い関心を示していたということを認めているからだ)
Sperlich氏は、同氏の開発チームとTIのアナログシグナルチェーングループのメンバーたちが市場に投入したデバイスを、EE Timesにいくつか披露している。その中には、デジタルアイソレーター「ISOW774x」や、イーサネットPHY「DP83TG720-Q1」、ホール効果位置センサー「TMAG5170」、ブラシレスDCモータードライバー「DRV8311」、デジタルアナログコンバーター「DAC63204」などが含まれる。
「この中の少なくとも2〜3種類のデバイスが、新しい300mmウエハー工場によって追加される生産能力を活用することになるだろう。初期生産は2022年9月に開始しており、今後数年以内にはフル稼働が始まる予定だ」(Sperlich氏)
絶縁デバイスの革新を加速
TIは、その巨大な300mmアナログウエハー工場で生産する製品の内容に関係なく、今のところ全般的に「絶縁」をかなり重要視しているようだ。Sperlich氏は、「TIは、2006年に初めて二酸化ケイ素(SiO2)キャパシティブアイソレーターを発表して以来、絶縁の革新を実現してきた」と述べる。
TIが手掛ける絶縁デバイスは、さまざまな日常製品を保護している。例えばロボット掃除機の場合、家の中を動き回ってホコリを集めるだけでなく、静電気を放電するため、掃除機本体を保護する。また、電気自動車(EV)の場合は、スターターを駆動する巨大な電池パックから消費者を守っている。
Sperlich氏は、「高電圧を使用する場合、人間を(感電などから)確実に保護する手段が必要だ。このため、通常、機器と人間を電気的に遮断する絶縁製品を提供することで、人間がキロボルトクラスの電力に絶対に触れることのないようにするのだ」と述べる。
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