TIが新300mm工場稼働開始、アナログ半導体生産を拡大:数年以内にはフル稼働(2/2 ページ)
Texas Instruments(TI)は2022年9月29日(米国時間)、米国テキサス州リチャードソンの新しい300mmアナログウエハー工場「RFAB2」において、半導体の初期生産を開始すると発表した。このRFAB2は、2009年から稼働している300mmアナログウエハー工場「RFAB1」と連結され、数年後には、両工場の1日当たりのアナログ半導体生産量は計1億個を超える見込みだという。
自動車/EV分野に大きな機会
同氏は、「EVが普及し、それに伴ってEV充電ステーションも普及すると予測されていることは、TIにとって良い前兆だといえる。全般的に、EVや充電ステーション、それに関連する製品が存在する全ての場所において、絶縁製品シリーズが使われることになるだろう」と付け加えた。
さらに最近では、内燃機関自動車(ICEV)でさえも、TIにとって良いターゲットとなっているという。
Sperlich氏は、「自動車は全般的に、デジタルコンテンツを増加させることで、運転体験をさらに面白いものにしようとしている。例えば、スクリーンやボタン、可動式の座席、周囲ノイズを除去するスピーカーなどだ。このため、トランシーバーや絶縁の分野で、多くのビジネス機会が生まれている」と述べる。
同氏は、顧客企業名については具体的に明かさなかったが、「果てしなく業務が続いている」ことを示唆していた。
「われわれは、世界のほぼ全ての自動車メーカーとの協業により、絶縁関連の問題を解決すべく取り組んでいるところだ。例えば、速度やチャンネル数に関する課題の他、高いバッテリー電圧に対応できるよう、高い動作電圧を使用する必要があるといった課題もある。また、低いバッテリー電圧を使用する顧客企業もある。自動車業界では、さまざまな自動車メーカーが、それぞれ別の電池電圧に対応しているということが分かるだろう。例えばパワーツールの場合、14Vのパワーツールでも60Vのパワーツールでも、それぞれに絶縁要件が異なる」(Sperlich氏)
オーディオ、医療、そして宇宙まで
TIの絶縁デバイスは、自動車用途だけに限られているわけではない。
Sperlich氏は、「われわれはまさに今、世界初となるUSB準拠のアイソレーションソリューションであるIsolated USB 2.0をリリースしようとしているところだ。このデバイスは、オーディオ信号がUSB経由で送信されるオーディオ用途や、病院内にあるUSBプラグにメモリスティックを差し込んでデータをダウンロードする場合などの医療用途などで有望だ」と述べている。
「当社は、既に2022年、『ISOUSB』シリーズの中でも低速の12Mビット品をリリースしている。また、近く480Mビット品もリリースする予定だ。USBソケットが存在し、左右の間で電圧の差異が存在する可能性がある場合は必ず、レベルシフターのようなものが必要になるため、かなり強力な製品となるだろう。『ISOUSB211』は、繊細な回路を保護し、動作を維持することが可能だ」(Sperlich氏)
TIは、低速(1.5Mビット/秒)、全速(12Mビット/秒)、高速をサポートするガルバニック絶縁USB 2.0準拠のリピーター「ISOUSB211」が、宇宙や低軌道衛星環境で使用されることも視野に入れている。
Sperlich氏は、「TIのRFAB(1および2)はQML(Qualified Manufacturers List)認定を受けており、そこで宇宙グレードの製品を作ることができる」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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