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半導体業界全体で温室効果ガス削減へ、SEMIがコンソーシアム始動「2050年までに排出量実質ゼロに」(1/2 ページ)

環境への配慮は、あらゆる業界にとって不可欠な取り組みとなってきた。半導体業界団体のSEMIは、半導体気候変動コンソーシアム(SCC:Semiconductor Climate Consortium)を立ち上げ、持続可能性へのコミットメントを正式に表明した。

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 環境への配慮は、あらゆる業界にとって不可欠な取り組みとなってきた。既報の通り、半導体業界団体のSEMIは、半導体気候変動コンソーシアム(SCC:Semiconductor Climate Consortium)を立ち上げ、持続可能性へのコミットメントを正式に表明した。本記事では、その中身について詳細をお伝えする。

「協調」「透明性」「野心的目標」の3本柱


画像はイメージです

 SEMIは、世界の電子機器製造および設計サプライチェーンに関わる業界団体で、半導体企業60社以上から成る創設メンバーとともに、同イニシアチブを率いている。

 SEMIの環境、健康、安全、持続可能性担当シニアディレクターを務めるJames Amano氏は、米国EE Timesに対し、「持続可能性は近年、業界と協会のメンバー企業2500社の主要な焦点になっている」と語った。多くのメンバーが独自の持続可能性イニシアチブを掲げているが、同氏は「SEMIは、全てのメンバーの声をまとめる業界団体であるため、個々が声をあげるよりも強力だ」と述べている。

 SEMIの持続可能性イニシアチブは、気候に関連しない環境、社会、ガバナンス(ESG)の問題に引き続き焦点を当てる予定であるが、SCCの設立は同イニシアチブの下集まったメンバー企業と協力して行われたことで加速した。Amano氏によると、SCCの設立については2021年に着手され、急速に勢いを増したという。

 SCCは、「協調」「透明性」「野心的目標」という3つの重要な柱を掲げている。SCCのメンバーはこれらのイデオロギーの下、温室効果ガス排出量を継続的に削減するために、共通のアプローチと技術革新、情報伝達経路で協力および提携していく。透明性は、スコープ1(企業が所有および管理する資源からの直接排出)、2(電力会社から購入したエネルギーを生成するための間接排出)、3(企業や組織に関連する活動に起因する間接排出)の排出量を含めた進捗状況を毎年公表するという形で実現するとしている。

 Amano氏は、「2050年までに排出量を実質ゼロにすることを目指して、短期および長期の脱炭素化目標を設定したい」としている。全ての創設メンバーは、1.5℃目標を推進するパリ協定および関連協定を支持することに賛同している。同氏は、「SCCの基本的な目標は、業界における排出量を改善および削減することだ」と付け加えた。

 SCCの目標を達成することは、バリューチェーンのさまざまな部分に影響を及ぼすため、その意味合いはメンバー企業によって異なる。ファブ企業の場合は、省エネルギーの目標を達成することになるだろう。持続可能性は、使用する材料の種類や調達方法にも影響を及ぼすが、核となる問題は排出量である。

 SCCは、スコープ1、2、3に対する企業の取り組みを支援することを目指している。Amano氏は、「スコープ3は、多くのサプライチェーンにとって最も困難である」と指摘する。

 スコープ3の排出は、材料の生産と輸送、廃棄物処理、従業員の通勤、社有車の使用など、さまざまな排出源がある。Amano氏は、「これは、今後の重要な問題の一つと考えられている」と述べている。

 SCCは、他の団体やNGO、投資家とも連携していく予定だという。Amano氏は、「全員が一致団結して、バリューチェーン全体で取り組むことが必要だ」と述べている。同氏は、「SCCには、全ての参加者にとって有益な情報とベストプラクティスを共有する協調性がある。これは、競争の前に必要な段階だと考えている」と付け加えた。

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