半導体業界全体で温室効果ガス削減へ、SEMIがコンソーシアム始動:「2050年までに排出量実質ゼロに」(2/2 ページ)
環境への配慮は、あらゆる業界にとって不可欠な取り組みとなってきた。半導体業界団体のSEMIは、半導体気候変動コンソーシアム(SCC:Semiconductor Climate Consortium)を立ち上げ、持続可能性へのコミットメントを正式に表明した。
MicronやSchneiderの取り組み
Micron Technology(以下、Micron)などのSCCの創設メンバー企業は既に、持続可能性に対する取り組みを強化している。Micronは、ESGの優先事項のマイルストーンに関する年次進捗報告書を発表した。Applied Materialsも、持続可能性に関する年次報告書を発表している。Amano氏は、「持続可能性に焦点を当てている企業は、過去10年間に何度も行ってきた排出削減をさらに進めている」と述べる。
別のSCCの創設メンバー企業であるSchneider Electric(以下、Schneider)は、エコシステム全体の持続可能性を特に重視している。同社の戦略的イニシアチブ担当ディレクターを務めるCarsten Baumann氏は、最近カナダのトロントで開催された「infra/STRUCTURE」カンファレンスで、「持続可能性はもはや“あるといいこと”ではなく、“なくてはならないこと”に変わりつつある」と述べている。
サプライチェーンにおける今日の課題を考えると、長期的な持続可能性の実現には、サプライヤーエコシステムの複雑さに対処し、透明性に焦点を当てる必要がある。Schneiderは、持続可能性への独自の取り組みの一環として、四半期ごとにスコアカードを発行し、電子機器の材料から水や電気の使用量まで、製造時の使用量も含めて全ての内訳を公開している。
経営コンサルティングであるKMPGの調査によると、企業は環境に優しくない事業を測定し最小限に抑えるために真摯にイニシアチブをとっている。この調査では、持続可能なビジネスの実践が、包括的なESG戦略の一環として、企業の義務と見なされることがますます増えていることが明らかになっている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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