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鉄道にもIoTを、新興企業が狙う新市場Hum IndustrialとKonux(1/2 ページ)

世界の鉄道製造業界では現在、大手メーカーが優位性を確立している。しかし、さまざまな新興企業が、鉄道車両や走行レールに搭載可能なIoT(モノのインターネット)センサーや追跡メカニズムなどを提供することにより、鉄道事業に参入し始めている。

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 世界の鉄道製造業界では現在、大手メーカーが優位性を確立している。しかし、さまざまな新興企業が、鉄道車両や走行レールに搭載可能なIoT(モノのインターネット)センサーや追跡メカニズムなどを提供することにより、鉄道事業に参入し始めている。

 これまで鉄道分野は、大手鉄道車両メーカーである北米のUnion Pacific RailroadやCanadian National Railway、欧州のDeutsche BahnやSNCFなどによって支配されてきた。また鉄道供給の分野では、SiemensやAlstomなどの巨大企業が突出した地位を確立している。

 これらの鉄道車両メーカー各社のタイムスケールは、ケーブルテレビやモバイルネットワークオペレーターと比べると非常に長い。「鉄道向け5Gシステム『FRMCS』で実現する未来」の記事にもあるように、欧州や中国、インド、オーストラリアの他、アルジェリアや南アフリカなどアフリカ地域の鉄道システムでは現在も、2G(第2世代移動通信)セルラー鉄道規格「GSM-R(Global System for Mobile Communications-Railway)」が使われている。少なくとも2030年まではこの状況が続くとみられている。

 こうした中、新興企業は何をしようとしているのだろうか。

 米国EE Timesは今回、鉄道関連のIoT新興企業であるHum Industrial(米国ミズーリ州セントルイス)のCEO(最高経営責任者)を務めるByron Porter氏と、ドイツ・バイエルン州ミュンヘンに拠点を置くKonuxでマーケティング部門の責任者を務めるBorislava Söllner氏にインタビューを行い、両社の見解を聞いた。

貨物列車の重量を正確に測定する


Hum IndustrialのCEO、Byron Porter氏

 Hum Industrialは最近、貨物列車の重量をより正確に測定することが可能な手法を発表した。Porter氏はEE Timesの取材に対し、「(貨物列車の重量を測る)鉄道スケールは通常、貨物を積載する場所の地面に物理的な測定器として設置されているが、われわれが今回新たに開発した鉄道ベアリング装置『Atlas Adapter』は、それを置き換える存在となる」と主張する。

 「鉄道スケールの価格は、本体だけで約5万〜15万米ドルだ。ここには、付随して発生するコンクリートの費用や建設コストなどは含まれていない。また、施設内に十分な設置面積がないということもあり得る」(Porter氏)

 同氏は、「Hum Industrialは、車両内の8カ所の接点にひずみゲージを搭載し、それを使って、より高精度な重量測定を実現した。ターゲット市場は、オーストラリアとブラジル、北米だ。リアルタイムで動作する鉄道スケールとして機能する。積載量の変化を感知するとすぐに、積載が終わるまで頻繁にレポートを送信し続けることができる」と説明する。

 「このようなオンボード機能は、貨物運送業者が誤って荷重積載したために荷物を廃棄しなければならないといった事態を阻止することが可能だ。列車が過重積載した場合は、鉄道会社側がその分の支払いを請求することになる」(Porter氏)

 さらに同氏は、「反対に、貨車の重量を正確に測定できないために当てずっぽうに荷物を積み込み、列車の積載荷重を下回ってしまうのを防止することもできる。Atlas Adapterは、荷物を満載した列車の重量を、わずかな誤差で測定することが可能だ」と述べる。

 Hum Industrialは、2022年冬に現実世界での試験を開始し、2023年第1四半期にはAtlas Adapterを本格的に商用リリースしていく予定だという。同社は、今後数年間をかけて、新型アダプターを貨物列車に搭載していく計画だ。「われわれのターゲットは、AAR式の鉄道車両だ。AAR式とは、オーストラリアやブラジル、北米などで使われているディーゼル機関車や電気機関車で採用されている車軸配置手法である。当社はこれまで欧州に焦点を当てていたが、レールゲージのサイズは世界各国でさまざまに異なるため、近い将来に欧州市場に参入できるようになるとは思えない」(Porter氏)

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