鉄道にもIoTを、新興企業が狙う新市場:Hum IndustrialとKonux(2/2 ページ)
世界の鉄道製造業界では現在、大手メーカーが優位性を確立している。しかし、さまざまな新興企業が、鉄道車両や走行レールに搭載可能なIoT(モノのインターネット)センサーや追跡メカニズムなどを提供することにより、鉄道事業に参入し始めている。
アジアと欧州を狙うKonux
KonuxのSöllner氏は、「KonuxのIoT製品のターゲットは、アジアと欧州だ。当社は2014年の設立以来、ベンチャーファンドで1億3060万米ドルの資金を調達してきた」と述べる。
Konuxは、鉄道分岐器向けに予測可能な保守システムを提供する。Deutsche Bahnは2015年から、高速鉄道の分岐器でKonuxの産業用IoT(IIoT)装置を採用している。
Konuxのシステムは、主要なスイッチ部品の状態監視を常時行える。そのため、管理者たちは分岐器の状態を経時的に予測することが可能だ。
Söllner氏は、「特に欧州では、新しい線路を建設する場所がない。鉄道会社が車両走行のさらなる効率化を実現していくためには、既存のインフラをフル活用する必要がある。欧州の鉄道網は、既に過密状態にあるため、レール上で発生するいかなるミスも、重大な影響を及ぼすことになる。欧州の鉄道サービス関連の需要は、2050年までに2倍に増大するだろう」と指摘する。
「KonuxのIIoTセンサーは、レールの枕木に直接搭載されている。列車がその上を通過すると起動し、列車の加速と枕木の動きを測定するのだ。その情報はクラウドに送信され、そこでさまざまな種類のデータ分析を実行し、顧客向けに各種コンポーネントの状態に関するデータを提供する。枕木周辺の状態や保守の必要性などについて洞察を得ることができるようになる」(Sollner氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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