光学技術で独自の地位を築くams OSRAM:エミッターからセンサーまで(2/3 ページ)
光センサーなどを手掛けるオーストリアamsが、ドイツの照明メーカーOSRAM Licht(以下、OSRAM)を買収したのは2020年7月のことだ。以来、両社はams OSRAMとして、LEDなどのエミッター、レンズやライトなどの光学コンポーネントやモジュール、光センサー/バイオセンサー/イメージセンサー、エミッタードライバーICやアルゴリズムを展開している。
2万5600個のLED素子を個別に制御
ams OSRAMの技術力を表している車載向け製品としてStockmeier氏が挙げるのが、LEDチップ「Eviyos(エバイオスのように発音)」だ。これは、2万5600個のLED素子をわずか40mm2の実装面積に収めたデバイスで、この2万5600個のLED素子を個別に制御できる。これにより、Eviyosを搭載したヘッドライトは柔軟な配光制御ができるようになる。「当社は、IC設計、マイクロ光学、LED開発、全ての技術を保有している。Eviyosはそれを体現している製品の一例だ」(Stockmeier氏)
3Dセンシング向けセンサーから超低消費電力のイメージセンサーまで
モバイル/ウェアラブルも重要な市場だ。ams OSRAMは、OLED(有機EL)ディスプレイ管理やカメラ機能の強化に向けた光センサーやカラーセンサー、AR/VR向けに3D(3次元)センシングを実現するためのToF(Time of Flight)センサーやLED、ディスプレイ用のマイクロLEDなど、幅広い製品群をそろえている。
産業機器や医療機器では、バイタルサインモニタリング用のセンサーや、殺菌用のUV-C LEDなども扱っている。
2022年7月には、AR/VR製品やドローン、ロボット、無人搬送車などに向け、グローバルシャッターNIR(可視光・近赤外)イメージセンサーである「Mira 220」を発表した。Mira 220は裏面照射技術により、わずか2.79μmの画素サイズで高い感度と量子効率を実現しているという。5.3mm角と小型で、スリープモードで4mW、フル解像度で90fps(フレーム/秒)でも350mWという低い消費電力も大きな特長だ。
Stockmeier氏によれば、ams OSRAMはMira 220の次世代品の開発に、既に着手している。「Miraファミリーの進化の方向性としては、さらなる低消費電力化、高感度化、S/N比の改善などが挙げられる。次世代品ではピクセルアーキテクチャも刷新される予定だ」(同氏)
RGB表面実装レーザーモジュール「Vegalas」のデモの様子。RGBのレーザー素子を、7×4.6×1.2mmの小型モジュールに収めている。小型なことから、AR/VR用のスマートグラスの用途に向ける。2023年前半に量産を開始する予定だ[クリックで拡大]
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