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メモリ市場予測は楽観すぎ、WSTSの最新予測にみる今後の半導体市況大山聡の業界スコープ(60)(1/2 ページ)

WSTS(世界半導体市場統計)は2022年11月29日、2022年秋季半導体市場予測を発表した。同予測によると2022年の世界半導体市場規模は前年比4.4%増、2023年は同4.1%減と4年ぶりにマイナス成長になるという。昨今の半導体市況を踏まえ前回予測から下方修正された格好だ。今回の不況を抜け出すキッカケは何なのか、気になるところである。今回は、WSTSの予測をみながら2022年の着地および、2023年以降の市況の見通しについて私見を述べさせていただく。

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 WSTS(世界半導体市場統計)は2022年11月29日、2022年秋季半導体市場予測を発表した。同予測によると2022年の世界半導体市場規模は前年比4.4%増、2023年は同4.1%減と4年ぶりにマイナス成長になるとした。WSTSでは2022年6月の時点の予測で2022年を同16.3%増、2023年を同5.1%増と予測しており、今回はこれを下方修正したことになる。半導体市況が悪化している現状を見れば下方修正自体に異論はない。だが、製品別の予測には賛同できない部分もある。そして、今回の不況を抜け出すキッカケは何なのか、気になるところである。今回は、ことし2022年の着地および、2023年以降の市況の見通しについて私見を述べさせていただく。

23年のディスクリートは10%前後の成長が期待できるのでは?

 今回の半導体製品別予測をみていくと、まずディスクリートは2022年を前年比12.4%増と予測している。2022年1月から10月までの実績を見ると同13.8%増である。やや控えめな予測に見えるが、今後成長率が鈍化しそうな見込みなので、まずは順当な予測と言えそうである。しかし、2023年を同2.8%増と予測しているのはやや保守的すぎるのではないだろうか。小信号トランジスタはこの程度の予測で順当と思われるが、パワートランジスタはクルマの電動化で需要が伸び続けており、同10%超の成長が期待できるはずである。現状は供給が追いついておらず、不足状態が続いている。ただ、2022年内にはInfineon Technologiesのパワーデバイス専用300mmウエハーライン(オーストリア)が立ち上がる見込みなので、不足問題も2023年半ばまでには解消される、と筆者は予測している。この新製造ラインの立ち上がりのタイミング次第ではあるが、ディスクリート全体では同10%前後の成長は期待できるだろう。


半導体製品別市場規模推移と予測(上段が金額、下段が前年比成長率)[クリックで拡大]出所:WSTS/2022年秋季半導体市場予測

 光半導体の2022年市場規模は同0.9%増と予測している。2022年1月から10月までの実績を見ると同2.0%増。この市場は約半分がイメージセンサーで占められており、こちらは10月までの実績が同2.1%減とマイナス成長に落ち込んでいる。現状から考えると2022年の予測値は順当といえるだろう。2023年の予測は同3.7%増になっているが、スマホ1台当たりのイメージセンサー搭載数量がどう変化するかによって見通しが大きく変わるので、その動向を見守る必要がある。

 センサーの2022年市場規模は同16.3%増という予測。2022年1月から10月までの実績を見ると同17.5%増、安定した成長を見せており、WSTSの予測はやや保守的に感じられる。2023年の予測、同3.7%増についても同様で、この市場は当面は2桁成長を期待してもよいのではないか、と筆者は期待している。

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