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「6G」の議論が進む、テラヘルツ波の活用も視野にメタバース普及の鍵か(1/2 ページ)

Nokiaは毎年、米国ニューヨーク州ダウンタウンブルックリンのニューヨーク大学(NYU)Tandon School of Engineeringにおいて、学術カンファレンス「Brooklyn 6G Summit(B6GS)」を開催している。今回のイベントには、NokiaやMicrosoft、Qualcommなどをはじめ、さまざまな企業の経営幹部たちが参加している。

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 Nokiaは毎年、米国ニューヨーク州ダウンタウンブルックリンのニューヨーク大学(NYU)Tandon School of Engineeringにおいて、学術カンファレンス「Brooklyn 6G Summit(B6GS)」を開催している。

 このイベントは、2014年に初めて開催された当時、「Brooklyn 5G Summit」と呼ばれていた。2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが猛威を振るったために開催が見送られたが、2021年にはその名称を「B6GS」に変更し、バーチャル開催された。そして2022年は、2年ぶりに対面での開催となった。

 今回のイベントには、NokiaやMicrosoft、Qualcommなどをはじめ、さまざまな企業の経営幹部たちが参加している。

6G対応製品は「Release 21」で登場する見込み

 Qualcommのエンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデントであり、ワイヤレスリサーチ部門の責任者を兼任するJohn Smee氏は、登壇したプレゼンの中で、「業界初となる6G(第6世代移動通信)対応製品は、『Release 21』で登場する見込みだ」と述べた。


「B6GS」で登壇したQualcommのプレジデント、John Smee氏

 Release 21のリリースは、まだ何年も先になるとみられている。移動体通信の標準化団体「3GPP(3rd Generation Partnership Project)」は2022年3月に、5G標準仕様である「Release 17」を完了させたばかりだ。

 実際、今回のイベントでは、Smee氏をはじめ多くの人々が、6Gネットワーク/デバイスの商用化は2030年以降になると予測している。にもかかわらず、かなりの数のベンダーが、既にXR(Extended Reality)やメタバースをはじめ、6Gによって実現可能な驚くべき技術について語っている。

 既に「5G-Advanced」仕様に関する研究が始動しているが、その実用化までにはこの先まだ数年間を要するとみられる。

 Smee氏は、「われわれは現在、5G-Advancedのリリースに向けて始動した。5Gの次なる重要段階は、Releases 18/19/20である」と述べる。

 「タイムラインから分かる重要な点は、現在既にRelease 18の一部が始まっているということである。3GPPの5Gの中でも最新仕様となるRelease 18は、既に5G-Advancedの最初の一部として進められているのだ」(Smee氏)

 Release 18は、2024年3月に完全に凍結される予定であるため、5G-Advanced対応の商用デバイスが実現するのは、その12〜18カ月後となる2025年半ば〜2026年初め頃になる見込みだ。

 Smee氏は、「今こそ6Gの基礎研究を開始すべき時だといえる。6Gの具体的なユースケースについてはまだ予測できないが、業界は既に、ネットワーク/デバイス側の改善が必要であることを理解している」と述べている。

 同氏は、「6Gは、既存のセルラーネットワークよりもさらなる低消費電力化とエネルギー効率化を実現する必要がある」と指摘する。

 「6Gビジョンの一環として、セルラー規格のフレームワークを拡張することにより、XRをビジネス環境とゲーム環境の両方で利用できるようにしていく。その一つに、AI(人工知能)をデバイス上にどの程度搭載するかという課題がある。エッジにおける演算、いわゆるエッジコンピューティングやエッジAIの役割は、今後5年間で大幅に変化するだろう。計算能力の搭載は多くのケースでエッジに向かっている」(Smee氏)

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