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「6G」の議論が進む、テラヘルツ波の活用も視野にメタバース普及の鍵か(2/2 ページ)

Nokiaは毎年、米国ニューヨーク州ダウンタウンブルックリンのニューヨーク大学(NYU)Tandon School of Engineeringにおいて、学術カンファレンス「Brooklyn 6G Summit(B6GS)」を開催している。今回のイベントには、NokiaやMicrosoft、Qualcommなどをはじめ、さまざまな企業の経営幹部たちが参加している。

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「Gigantic MIMO」

 2022年のイベントでは、7G〜24GHzの無線帯域について、幅広い議論が行われた。これらの中〜高周波数帯域には、大型アンテナが必要であることから、業界では「Gigantic MIMO」と呼ばれるようになっている。

 5G MIMOアレイは現在、「大規模MIMO(Massive MIMO)」と呼ばれ、16〜64本のアンテナ素子を使用している。5G-Advancedや6Gでは、アンテナ数がさらに増えるとみられる。

 Smee氏は、「このためQualcommでは、『Gigantic MIMO』と呼ぶ。より多くのアンテナ素子を使用することで、サービスエリアをさらに拡大できるようになる」と述べる。ただし同氏は、Gigantic MIMOアンテナアレイに必要な送信/受信素子の数については、具体的な予測を明らかにしなかった。

サブテラヘルツ利用に向けた調査も実施中

 6Gは、アジアや米国の一部地域で使われている28GHz/39GHz帯(ミリ波帯)よりも、さらに高い帯域幅を使用するとみられる。Smee氏は、「サブテラヘルツ通信は非常に重要な役割を担うことから、140GHz以上の帯域幅に関する重要な調査が行われている」と述べている。

 「6Gの新しい技術開発として、無線周波数センシング向けにテラヘルツ帯を利用できるようになる。このため、物理的なRF環境についてより良く理解し、それをマッピングし直して物理的環境のデジタル理解を進めることにより、人工現実(artificial reality)に向けた価値が生み出されるようになるだろう」(Smee氏)

 今回のイベントでは、複数の講演者たちが、「メタバース向けプラットフォームとしての6G」について語っている。メタバースはもともと、サイエンスフィクション用語として世に出てきたが、今やさまざまな企業にとって、VR(仮想現実)と結合されたデジタル世界を意味するビジネス用語になっている。

 今回のイベントは、NokiaのCEO(最高経営責任者)を務めるPekka Lundmark氏がメタバースの構築について熱狂的に語ることで幕を開けた。同氏は、「メタバースは、6Gを必要とするマルチベンダーの課題になるだろう。この仮想景観に対して、消費者やエンタープライズ、業界が、それぞれ個別に存在することになる」と主張する。


「B6GS」で登壇したQualcommのプレジデント、John Smee氏

 「設計はエンタープライズメタバースで行い、実装(構築)は産業メタバースで行うことになるだろう」(Lundmark氏)

 米国の調査会社IDCのアナリストであるPhil Solis氏は、「メタバースは、5Gや6Gには依存せず、そのほとんどがWi-Fi 6EやWi-Fi 7で実行されるだろう」と述べている。この場合「メタバース」は単なるマーケティング用語だ。2030年までにこの言葉が“一般用語”になっているのかどうか、われわれには分からない。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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