最新GPUを分解、見えてきたIntelの開発方針とNVIDIAのチップ検証力:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(69)(1/3 ページ)
今回は、IntelとNVIDIAの最新のGPUを分解する。GPUにおけるIntelの開発方針と、NVIDIAの開発力が垣間見える結果となった。
2022年、IntelからGPUチップ(GPUボード)が発売された。GPUと言えばNVIDIA、AMDだがそこにIntelが加わった。2022年にはIntelだけでなく中国メーカーからもGPU(中国オリジナルのGPUチップを用いたもの)が多数発売されている(弊社では数種のボードを入手しており、2023年には中国製GPUの報告を行う計画である)
図1は、2022年第2四半期(2Q)に発売されたIntelのGPU「Arc A380(以下、A380)」を搭載した、台湾ASROCK製のボードの様子である。位置付けとしてはGPUのローエンドモデルになる。ローエンドなので演算性能は高くない。そのため発熱も小さく空冷ファンは1基、ボードも手の平より若干大きい程度だ。先行するNVIDIAの「GeForce GTX 1630/1650」などの競合製品になっている(ボードサイズや形状もほぼ同じ)。
ボード上にはIntelのA380、それに隣接するGDDR6メモリが3チップ、計6GBが設置されている。メインボードとの接続はPCI Express 4.0、出力はDisplay Port3基とHDMI1基という一般的なGPUボードである。発売当初は日本での入手は若干困難であったが、現在はネット販売や大型電気量販店などでも容易に入手できる。
2021年に開発されたIntel「Arc A380」
図2はA380のシリコン開封の様子である。シリコンはパッケージの中央に配置されておらず、GDDR6との接続を最適化できるよう、やや中央からずれた場所に配置されている。回路面を下にしたフリップ配置である。シリコンを取り外して回路面を観察するとA380が開発された年号やメーカーコードが確認できる。その結果、A380は2021年に開発されたものであることが明確になった。2021年に開発し、製造、テストを行い、ボードに実装して、2022年2Qに発売されたわけだ。
シリコンはほぼ正方形。内部の左上方向にGDDR6のインタフェースピンが並び、シリコン下部はPCI ExpressとHDMIなどの接続端子が並んでいる。チップの内部は、「Xe HPG」アーキテクチャベースのGPUが「Xe-CORE」として8基搭載されている。製造はTSMCの6nmプロセスノードを適用。当社は非常に鮮明な写真を所有しているが、本稿には画質を落としたものを掲載した。中央から右上が演算器。小さな演算器が多数並んでいるのが見て取れる。演算器の青っぽく見える部分はSRAM、黒っぽく見える部分はロジック回路となっている。インタフェースとインタフェース制御回路を除けば、シリコン内はほぼ、多数並んでいる演算器という構成だ。
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