TDK、生え抜きのドイツ人新CSOが語る市場戦略:electronica 2022(1/3 ページ)
TDKの執行役員で電子部品ビジネスカンパニーCSO(最高営業責任者)を務めるLudger Trockel氏が取材に応じ、同社の重点市場および営業戦略などについて説明した。
TDKはドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2022」(2022年11月15〜18日)に出展し、IoT(モノのインターネット)やモビリティ、5G(第5世代移動通信)など、同社が注力する7つの分野に焦点を当てた製品群を紹介した。会場では、同社の執行役員で電子部品ビジネスカンパニーCSO(最高営業責任者)を務めるLudger Trockel氏が取材に応じ、同社の重点市場および営業戦略などについて説明した。
地域に最適化し、グローバルに展開
Trockel氏はドイツ・アーヘン工科大学卒業後の1990年にTDK Electronics Europeに入社し、以来、子会社のTDK Electronics Nordicの営業責任者やTDK Electronics Europe自動車部門バイスプレジデント、TDK自動車部門の副本部長、TDK Electronics Europeプレジデント兼マネージングディレクター、TDK電子部品ビジネスカンパニーの電子部品営業&マーケティンググループゼネラルマネージャーなどを歴任。2022年から現職に日本人以外として初めて就任し、TDKのグローバルの営業を統括している。
Trockel氏が目指すのは、「地域ごとの特長を生かした、グローバルな営業体制の形成」だ。日本企業が日本流、あるいはドイツ企業がドイツ流の営業を世界に展開するのではなく、地域ごとに最適化を図り、各地域のニーズにきめ細かに対応していく営業体制をグローバルに展開する。同氏は、「私はドイツ人として、日本企業であるTDKで32年間、キャリアを築いてきた。この経験から、西欧と日本あるいはアジアという2つの異なる文化の橋渡しができると考えている」と語っていた。
7つの重点市場に注力
同社が重点市場と捉えるのは、IoT、モビリティ、医療/ヘルスケア、Beyond 5G/6G(第6世代移動通信)、再生可能エネルギー、ロボティクス、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)の7分野だ。
モビリティ分野では自動車の電動化やADAS(先進運転支援システム)の発展による市場拡大を見込み、主力のセラミックコンデンサーやインダクターといった受動部品のほか、制御用の各種センサーなどを中心に展開する。同社の受動部品セグメントの売上高の43%を自動車向けが占めており、Trockel氏は、「われわれの大きな強みは『高信頼性製品』であり、他社に先駆けた性能を実現し、顧客から強い信頼と関心を寄せられている」と語っていた。
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