TDK、生え抜きのドイツ人新CSOが語る市場戦略:electronica 2022(2/3 ページ)
TDKの執行役員で電子部品ビジネスカンパニーCSO(最高営業責任者)を務めるLudger Trockel氏が取材に応じ、同社の重点市場および営業戦略などについて説明した。
ロボティクスや再生可能エネルギー、5Gも幅広い製品群でカバー
ロボティクス分野においても、圧電アクチュエーター、TMR角度センサーなどの各種センサーおよび電源、磁石などの幅広い製品群を強みに拡大していく。同社は今回、そうした製品群の厚みを生かし、6軸IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)やデジタルI2Sマイク、静電容量型気圧センサー、超音波ToF(Time of Flight)センサー、モータコントローラーなどを単一プリント基板(PCB)に統合した独自のロボット開発キット「TDK RoboKit1-DK」を会場で展示していた。
ロボット開発キット「3TDK RoboKit1-DK」に、3Dプリントロボットシェル(ToFセンサー用ソケット搭載)、筐体、産業用IMUモジュール、Bluetooth接続用のESP32 BLEモジュールなどを加えたロボットパッケージ[クリックで拡大]
世界的に加速する脱炭素社会に向けた取り組みから注目が高まる再生可能エネルギー分野では、風力発電システムなどに使用される大容量コンデンサーやインダクターおよび保護部品などの強みを生かす。また、再生可能エネルギーおよびロボティクス分野で重要となるバッテリーについて、同氏は「バッテリー、特にエネルギー貯蔵については、新たに設立した合弁会社が最も注力するところであり、これから重要な役割を果たすだろう」としている。
Beyond 5G/6G分野では、「5Gはスマートフォン、基地局市場を拡大している。現在、スマホ市場は飽和状態にあるものの、5Gはいまだ成長中であり、広く製品を展開していく」と説明。5G向けのセンサー類やRFコンポーネント、透明フィルムアンテナ、さらに圧電スピーカーやアクチュエーター、バッテリーなどを、各種アプリケーションに向けて提供していく。
IoTでは、ウェアラブル用のアクチュエーターやMEMSモーションセンサーやマイクなどの各種センサー類のほか、フレキシブル太陽電池および全固体電池などを強みとする。
VR/ARでは「現在はゲーム分野が主だが、今後あらゆる分野に普及することは明らかだ」と説明。特に、従来のセンサーに比べて1000分の1という超小型で低消費電力を実現したとする超音波ToFセンサーや、体積と重量を従来比10分の1に抑えた小型フルカラーレーザーモジュールなどを独自の特長として強調。拡大する市場でのシェア獲得を図っていく。
医療/ヘルスケアに関しては、圧電アクチュエーターやセンサーのほか、プラズマ発生器などを提供している。同分野は7つの分野の中では最も小規模といい、「TDKのトレーニングの場という位置付けだ。高齢化社会が進み、医療への関心が高まる中、われわれも関心を持ち、参入を進めているところだ」と説明していた。
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