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グリーン電力×IoTでエビ養殖、工学院大「SDGs達成に貢献」

2022年11月4日、工学院大学は「地域のバイオマスを利用した省エネ型エビ養殖システム高度化実証研究」の実施者間による化学技術共同契約に署名したと発表した。

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 2022年11月4日、工学院大学は同大学教授の白鳥祐介氏が参画する「地域のバイオマスを利用した省エネ型エビ養殖システム高度化実証研究(ベトナム)」が、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援する「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」に採択され、2022年11月3日に実施者間による化学技術共同契約に署名したと発表した。このプロジェクトは、グリーン電力供給とIoT(モノのインターネット)を導入した新しい養殖技術を確立しビジネス化を目指す取り組みで、ベトナム・ティエンザン省にあるエビの養殖場で実験している。

 署名式(ベトナム)の様子 養殖場(ベトナム) 左=署名式(ベトナム)の様子/右=養殖場(ベトナム)[クリックで拡大] 出所:工学院大

 ASEAN諸国は著しい経済発展と人口増加が原因で化石資源の需要が増加し、ティエンザン省では主要産業であるレモングラスを刈り取った後に残る茎や葉などの農業残渣(ざんさ)や、水産養殖力池から排出される汚泥などの廃棄物処理に大きな問題を抱えていた。

 グリーン電力供給では、農業残渣と水産養殖汚泥をメタン発酵槽に投入し、発生したバイオガスを高温作動する燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell/個体酸化物形燃料電池)に供給して高効率発電を実現する。発電した電力は、養殖池への空気供給の動力源として活用することで循環型システムの実証を目指す。エビの増産システムでは、IoTを活用して養殖地の水質や養殖関連機器の常時監視・調整を行うとともに、微細な気泡を発生させ溶存酸素濃度を高めるマイクロバブルディフューザーを導入することでエビの生存率/成長率を引き上げ、養殖生産量の最大化を図る。

 バイオガスで作動する燃料電池とIoTを導入したエビ養殖システムの概要図
バイオガスで作動する燃料電池とIoTを導入したエビ養殖システムの概要図[クリックで拡大] 出所:工学院大

 「養殖汚泥とバイオマス廃棄物で発電」と「IoTを用いた制御によるエビ養殖」を組み合わせた実証研究は「世界初」(同大学)とする。工学院大学は「SDGsならびに地域の持続的な発展に貢献し、超効率な発電技術であるSOFCの用途拡大と地球規模の普及を目的とした重要な実証研究だ」としている。

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