ディスコが過去最高出荷額を更新、パワー向けが好調:Q4は保守的な予測
ディスコの2022年度第3四半期(10〜12月期)業績は、売上高が前年同期比2.6%増の658億3800万円、営業利益が同4.1%増の242億5700万円となった。パワー半導体向けが好調で出荷額は792億円と過去最高を更新した。
ディスコは2023年1月24日、2023年3月期(2022年度)第3四半期(2022年10〜12月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比2.6%増の658億3800万円、営業利益は同4.1%増の242億5700万円になった。パワー半導体向けが好調で出荷額は792億円と過去最高を更新した。
GP率(売上総利益率)は65.5%で、四半期ベースで過去最高を記録した2022年度第2四半期実績と同水準になった。引き続き円安による追い風や、改善活動による付加価値向上、原価低減などがプラス要因になった。各種部材価格の高騰やエネルギー価格の上昇についても「現時点では特段大きな影響はない」としている。
売上高は前年同期比では2.6%増になったが、前四半期比では17.2%の大幅減になった。また、純利益も前年同期比2.2%減の165億4600万円だった。これについてディスコは、「量産用途での装置需要は減少傾向にあるが、主に個々の顧客の検収が遅れていることが原因だ。パワー半導体や研究開発用の装置では特に検収に時間がかかる傾向にあるが、順次検収が進むことで将来的な業績として計上できると理解している」と説明した。
なお、対中関係による影響については、「2022年度第3四半期では今のところ感じていない。影響が出るとなると前工程の先端分野が中心になるだろう。仮に前工程で製造されるウエハーが減少することになれば後工程にも影響が出てくるので、今後も状況を注視していく」と述べた。
出荷額は過去最高を更新、今後はグラインダーに注力
第3四半期の出荷額は、四半期ベースで過去最高となる792億円を記録した。顧客の投資意欲に濃淡はあるものの、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)向けのロジックやメモリなど量産用途では弱さが見られる一方で、パワー半導体など他アプリケーションでは強い需要があった。ただ、PCやスマートフォンなどの最終製品の需要鈍化に伴い、消耗品である精密加工ツールの出荷は減少しているという。
同社は、「当社は、ロジックやメモリに限らず、アプリケーションの裾野が広いため、足元の市場鈍化とは異なる結果になったと考えている。市場における量産用途の需要、具体的にはダイサーの需要は落ち着いてきている。一方で、パワー半導体を中心に薄化用途のグラインダー需要は非常に強いため、リソースを徐々にダイサーからグラインダーに移行しつつ対応していく」と説明した。
第4四半期は昨対割れの保守的な予想
2022年度第4四半期(2023年1〜3月期)の業績については、売上高668億円、営業利益241億円、純利益175億円、営業利益率は36.0%と見込む。いずれも前年同期比では減少となるが、同社は、「足元の消耗品需要の減少はある。第4四半期はそれなりに検収が進むと予想しているが、検収が遅延する可能性がある案件もいくつかあり非常に読みにくい。現時点ではなかなか見通しが立たない状況だ」と説明した。市場動向を表す出荷額については653億円を見込んでいる。
この結果、2022年度通期(2022年4月〜2023年3月)の通期は、売上高が前年同期比7.1%増の2719億円、営業利益は同12.8%増の1032億円、純利益は同12.8%増の747億円になると予想している。
なお、想定為替レートは1米ドル120円で見込んでおり、「仮に1米ドル130円だった場合、売上高は700億円を超える計算になる」と説明した。
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