スマホの進化は止まらない、自社チップ搭載の中国最新機種を分解:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(70)(2/3 ページ)
今回は、中国メーカーの最新スマートフォン「Xiaomi 12T Pro」や「vivo X90 Pro/Pro+」の解析結果を報告する。
自社開発した電池充電ICを搭載
図3は、Xiaomi 12T Proのメイン基板の様子である。基板は機能によって区画化されていて、機能ごとに図2の左上のように金属シールドが施されている。シールドによって、電磁波対策や放熱対策を行っているのだ。
シールドを外すと半導体チップだらけとなる。1枚の基板の表裏にびっしりとチップが乗っている。Xiaomi 12T Proは、基板の表裏を使い切る1枚基板となっている。左側がプロセッササイド、右側がプロセッサを裏面から支える電源系だ。メインのプロセッサはPOP(Package On Package)という形で実装されていて、上にDRAM、下にプロセッサという構成になっている。プロセッサはQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1。真上にDRAM、隣にはストレージメモリや通信用のトランシーバーが配置されている。
最大の特長はXiaomi自身が開発した電池充電IC「Surge P1」が採用されていることだ。Xiaomiは電池充電ICだけでなく、カメラAI(人工知能)プロセッサなども自社開発し、採用しているが、Xiaomi 12T Proでも自社チップを活用することで急速充電時間を著しく短縮させ、製品の訴求ポイントに仕上げている。このチップと充電器を組み合わせることで最大効果を発揮するわけだ。当社は既にXiaomi Surge P1や充電器も分解およびチップ開封解析を行っている。
図4は、2022年12月に発売された中国vivoの新シリーズ「X90」(ハイエンドの「X90 Pro+」、ミドルハイの「X90 Pro」、ミドルの「X90」という3機種が同時に発売された)のうち、ミドルハイのX90 Proを分解した様子である。
vivo X90 Proの内部構造は、Xiaomi 12T Proとほぼ同じだ。上部にカメラおよびプロセッサ基板、中央に電池、下部にUSB-C端子とスピーカーである。近年の中国製スマートフォンは、ハイエンドでも1万円代のローエンドでもほぼ同じ構造をしている。ただし違いはある。vivo X90 Proでは電池を2個搭載する。現在徐々にではあるが、電池を2個搭載するモデルが増えている。vivo X90 Proは3眼カメラ、メインのワイドカメラは5030万画素を用いている。
図5はvivo X90 Proの基板の様子である。基板はスペーサーを介した2階建て構造になっていて、図5の通り基板裏面で接続されている。階を分けることで機能を分離するだけでなく、Xiaomiの機種と同じく電磁波や熱対策のためのシールドも施されている。
図5はシールドを取り外した様子である。2階の子基板にはvivo独自のプロセッサ「V2」が搭載されている。V2は名前の通り2代目チップ。AI機能とカメラISP機能を持つ、非常に高性能なプロセッサだ。
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