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米国、日本/オランダと新対中半導体規制で合意ASMLの液浸リソグラフィ装置など規制(1/2 ページ)

米国、オランダ、日本の政府間合意の一環として、ASML、ニコン、東京エレクトロンは、ハイエンドのフォトリソグラフィ装置を中国企業へ供給ができなくなるようだ。

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 米国、オランダ、日本の政府間合意の一環として、ASML、ニコン、東京エレクトロンは、ハイエンドのフォトリソグラフィ装置を中国企業へ供給ができなくなるようだ。

ASML
出所:ASML

 The Wall Street Journalは、「オランダ政府は、同国のフォトリソグラフィ装置メーカーであるASMLに対し、深紫外線(DUV)リソグラフィ装置のラインアップのうち最も高度な種類である、液浸リソグラフィ装置の一部を中国に販売することを禁じる予定だ」と伝えている。

 ASMLは、最先端の半導体を生産する上で不可欠なEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を製造する唯一の企業だ。

 中国が大型のリソグラフィ装置を入手するのは困難で、こうした装置をゼロから作ることは不可能に近い。その上、大型リソグラフィ装置は、毎年わずか数百台しか購入されておらず、かなり容易に輸出先を管理できる。

 これらの重要な装置がこれまでに何台中国に販売されたのかは分かっていない。また、中国企業が最も高度な半導体の生産能力を現在どれほど有しているかも未知である。

 中国は10nmプロセスノード未満のチップを生産する技術を持ってはいないようだが、既に新たな製造施設に投資している。現時点では台湾のTSMCだけが5nmチップを生産できる技術を有していて、5nmチップの生産には、ASMLが展開する高度なリソグラフィ装置が必要だ。

リソグラフィ装置のイメージ
リソグラフィ装置のイメージ 出所:ASML

リソグラフィの歴史

 リソグラフィシステムは投影システムである。光がパターンの設計図(これは「マスク」または「レチクル」として知られている)を通して投影され、印刷される。このプロセスが100回以上繰り返され、パターンが重ねられていき、完全なマイクロチップが出来上がる。

 この重要な技術は、米国メリーランド州にあった米国陸軍傘下の研究施設「Diamond Ordnance Fuse Laboratories」に所属していたJay Lathrop氏とJames Nall氏によって、1957年に開発された。当時は、セラミック基板上に幅約200μmの薄膜金属ストリップを蒸着し、ディスクリートトランジスタを接続していた。両氏はその蒸着に使われたフォトリソグラフィ技術の特許権を取得した。

 1959年、Lathrop氏はTexas Instrumentsに、Nall氏は旧Fairchild Semiconductor(NXP Semiconductorsが買収)にそれぞれ入社した。前年の1958年には、旧Fairchild Semiconductorのエンジニアが初となるステップアンドリピート方式のカメラの一つを構築していた。それにより、フォトリソグラフィを使って単一ウエハー上にトランジスタを簡単に複製可能となった。

 1980年初めには、米GCAがフォトリソグラフィの世界的なリーダーと見なされており、「最もホットなハイテク企業」の一つとされていた。同社はウエハーステッパー(ステップアンドリピート方式のカメラ)を発明した。スライドプロジェクターやフォトグラフィックエンラージャーと似たデバイスで、チップサイズのさらなる小型化を実現した。ウエハーステッパーは1μmの限界を超えた初めての技術だった。

 当時、日本の競合企業であるニコンやキヤノンが急速に追い上げ、大胆な技術投資を進めていた。米国のリソグラフィ装置メーカーは、半導体メーカーとの商談がまとまるまで設備投資を控えていたが、日本は半導体メーカーと組んでロードマップを決め、新しい装置の納入を調整していた。

 「Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology」の著者であるChirs Miller氏は、同書で「リソグラフィ装置なしでは半導体を作ることはできないが、米国のメーカーは生き残るために必死だった」と記している。

 GCAは、政府が支援するコンソーシアム「SEMATECH(Semiconductor Manufacturing Technology)」から少なくとも6000万米ドルの資金を得たが、1993年、ニコン、キヤノンに対抗できないとして、米国マサチューセッツ州の工場を閉鎖した。

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