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米国、日本/オランダと新対中半導体規制で合意:ASMLの液浸リソグラフィ装置など規制(2/2 ページ)
米国、オランダ、日本の政府間合意の一環として、ASML、ニコン、東京エレクトロンは、ハイエンドのフォトリソグラフィ装置を中国企業へ供給ができなくなるようだ。
業績が好調なASML
EUVリソグラフィ装置は、10nm以下のリソグラフィに欠かせない。それ故、ASMLは最先端のEUVリソグラフィ装置において100%のシェアを持つ。
ASMLが発表した決算報告によると、2022年度の売上高は230億米ドル、純利益は60億5000万米ドルだった。同年のリソグラフィ装置の販売数は、新品が317台、中古が28台だったという。2023年度の売上高は前年比25%増を見込んでいる。
2023年度についてASMLは、力強い成長を見込んでいると語る。同社プレジデント兼CEO(最高責任者)のPeter Wennink氏は、「2023年度第1四半期の売上高は61億〜65億ユーロ、粗利益率は49〜50%と予想している」と述べた。台湾、欧州、米国からの需要は引き続き拡大するため、中国への装置輸出に関する新たな規制が、同社の収益を圧迫することはないとみられる。
中国の報復の可能性
半導体製造装置は、AI(人工知能)や量子コンピューティングでリードしようとする中国の野望にとって欠かせないものだ。
中国の大企業が海外で最先端チップを調達し、新しいシステムを構築することは可能だろうが、中国本土で最先端半導体を設計/製造できないことは、その野望から一歩後退することを意味する。
中国政府は規制についてまだコメントを発表していないが、欧米企業に対する貿易規制を対抗措置して講じる可能性がある。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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