東芝が営業利益を2回目の下方修正、HDDなど低迷:パワー半導体は好調も(1/2 ページ)
東芝の2023年3月期第3四半期累計業績は、売上高が前年同期比1%増とほぼ横ばいの2兆3702億円、営業利益が同795億円減の81億円だった。通期予想も、営業利益を前回予想から300億円減の950億円、純利益(参考値)を同600億円減の1300億円と、前回に引き続き下方修正した。
東芝は2023年2月14日、2023年3月期(2022年度)第3四半期累計業績(4〜12月)を発表した。売上高は前年同期比1%増とほぼ横ばいの2兆3702億円、営業利益は同795億円減の81億円、純利益は同309億円減の840億円だった。また通期予想についても、営業利益を2022年11月の前回予想から300億円減の950億円、純利益(参考値)※)を同600億円減の1300億円と、前回に引き続き下方修正した。
※)キオクシアの持分法損益の将来見通しを織り込んでいない参考値
HDD市況の急激な悪化などが影響
2022年度第3四半期の累計売上高は、為替の好影響の他、エネルギーシステムやインフラシステム、リテール&プリンティング、デジタルおよびその他セグメントでそれぞれ前年同期比プラスとなったものの、デバイス&ストレージおよびビルセグメントが悪化。結果前年同期とほぼ横ばいで着地した。
営業利益の悪化について同社は、HDD市況の急激な悪化の影響や、HDD製品保証引当金(マイナス120億円程度)、プリンティング事業のれん減損(マイナス206億円)、発電システムに関わる製品保証引当金など(マイナス135億円)といった一時的要因が増加したことを主因として挙げた。また、素材/輸送費高騰によるマイナス要因が283億円あったほか、研究開発費など将来に向けた成長固定費を140億円増加させたが、これらは「円安効果に加え、増収による増益で吸収している」(同社)とした。
半導体事業は増収増益、マスク描画装置も好調
デバイス&ストレージセグメントはHDD事業の不調から、売上高が前年同期比597億円減の6001億円、営業利益が同266億円減の292億円と、減収減益になった。ただ、このうち半導体事業は、産業向けを中心に市況が引き続き堅調なことに加え、子会社であるニューフレアテクノロジーのマスク描画装置の販売も好調で、売上高は同481億円増の3166億円、営業利益も同105億円増の486億円と増収増益となっている。ニューフレアについて、東芝代表執行役専務CFO(最高財務責任者)平田政善氏は、「かなり好調で、今後も堅調に受注が続き、売り上げが立っていくとみている」とした。
HDD事業は、モバイル/デスクトップHDD市場の縮小および、ニアラインHDD市場の調整などの影響を受け、売上高は同1078億円減と大幅減の2835億円、営業損益も減収の影響に加え、製品保証引当金の計上もあり、同371億円減で194億円の赤字となった。平田氏は、「データセンター向け需要が第3、第4四半期で回復せず、想定より売り上げが落ちているという状況が続いている」と説明。「一般的な見立てとしては、2023年12月くらいには底を打って回復していくと予測されており、われわれもそこに向けて対応している」と述べていた。
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