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舌が味を感じる仕組み福田昭のデバイス通信(396) 2022年度版実装技術ロードマップ(20)(1/2 ページ)

前回に続き、「味覚」の概要を取り上げる。舌の表面構造と味蕾の構造、味蕾が味を感じる仕組みを解説する。

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舌の表面にある微小な突起で味を感じる

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。

 本シリーズの前回から、第2章「注目される市場と電子機器群」の第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」の第3項(2.3.3)「人間拡張」から6つ目の項目「2.3.3.6 味覚」の概要を解説している。今回はその続きとなる。なお一部、実装技術ロードマップの内容を補完する記述があるのであらかじめ了承されたい。

第2章第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」と第3項(2.3.3)「人間拡張」の目次
第2章第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」と第3項(2.3.3)「人間拡張」の目次。赤線の枠で囲んだ部分(「2.3.3.6 味覚」)の概要を前回から解説している[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 前回は「味覚」の存在意義(体内に取り込むかどうかの判断材料の一つ)と、味は「味蕾(みらい)」と呼ぶ細胞組織で感じること、味覚には5つの基本的な味(五味)があること、味覚ではないが「味」と見なされている感覚(痛覚)があることについて説明した。今回は舌の表面構造と味蕾の構造、味蕾が味を感じる仕組みを解説する。

形状と位置の異なる4種類の乳頭が味覚に寄与

 舌の表面には、「乳頭(にゅうとう)」と呼ぶ微小な突起が数多く存在する。乳頭は4種類あり、その中で3種類の乳頭が味蕾をそなえる。残りの1種類は味蕾がない。以下に4種類の乳頭を簡単に説明しよう。

 舌の奥にある乳頭は「有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)」と呼ばれる。有郭乳頭には約2000個の味蕾が存在する。

 舌の奥側面に存在する溝状の乳頭は「葉状乳頭(ようじょうにゅうとう)」と呼ばれる。葉状乳頭は約1300個の味蕾を備える。

 舌の前から3分の2くらいの表面には「茸状乳頭(じじょうにゅうとう)」が散らばって分布する。茸状乳頭には約1600個の味蕾が存在する。

 このほか味蕾を持たない「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」が舌の表面全体に分布する。小さな円錐形の突起であり、舌の乳頭では最も数が多い。化学物質を舌でなめ取りやすくするとともに舌に残りやすくすることで味覚の感度を高めている。

舌の表面構造(味覚に関する部分)
舌の表面構造(味覚に関する部分)。舌の表面には「乳頭(にゅうとう)」と呼ぶ微小な突起が数多く存在する(注:この図面は実装技術ロードマップ本体には掲載されていない)[クリックで拡大] 図面の出所(一部を削除):OpenStax, CC BY 4.0 , via Wikimedia Commons

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