連載
舌が味を感じる仕組み:福田昭のデバイス通信(396) 2022年度版実装技術ロードマップ(20)(2/2 ページ)
前回に続き、「味覚」の概要を取り上げる。舌の表面構造と味蕾の構造、味蕾が味を感じる仕組みを解説する。
味蕾を構成する4種類の細胞
前回でも述べたように、甘味とうま味、塩味、酸味、苦味は味蕾で感じる。味蕾には味を感じる感覚受容細胞(味細胞)があり、味孔から入った化学物質によって特定の味細胞が反応する。味細胞は生成した信号を求心神経から中枢(脳)へと送る。味蕾の細胞には味に反応する以外の役割もある。電子顕微鏡観察によって味蕾にはI型(type I)からIV型(type IV)までの4種類の細胞(型細胞)があることが分かっている。
味蕾の構造と味を感じる仕組み(注:この図面は実装技術ロードマップ本体には掲載されていない)[クリックで拡大] 図面の出所:NEUROtiker, CC BY-SA 3.0
I型細胞は味蕾のおよそ50%〜60%を占めており、味蕾の形態を維持する役割を担う。II型細胞は味蕾のおよそ20%から30%を占める。味細胞を含んでおり、甘味、うま味、苦味を感じる。III型細胞は味蕾のおよそ10%〜20%を占める。酸味に応答する細胞と、一部の塩味に応答する細胞を含んでいる。
IV型細胞は味蕾の基底部に位置しており、前駆細胞として機能する。味細胞の寿命は約10日間と非常に短い。このため、前駆細胞は素早く次々と分化して欠損した細胞を補完している。
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