HDD大手Seagateの四半期業績、2期連続で営業赤字を計上:福田昭のストレージ通信(249)(1/2 ページ)
Seagate Technologyの2023会計年度第3四半期(2023年1月〜3月期)の業績概要を紹介する。
前四半期と比べて営業損失が2倍近くに増加
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)と米Western Digital(以降はWDと表記)が、四半期の業績を相次いで公表する。発表日(現地時間、予定を含む)はSeagateが2023年4月20日、WDが同年5月8日である。そこで今回と次回は、Seagate(今回)とWD(次回)の四半期業績を続けてご報告する。
Seagateの会計期間は7月から始まり、6月を決算月とする。4月20日に同社が発表したのは2023年1月〜3月の四半期業績で、会計年度では「2023会計年度第3四半期(Q3FY23)」となる。
2023会計年度第3四半期(2023年1月〜3月期)の売上高は前四半期(前期)比1.4%減、前年同期比33.6%減の18億6000万米ドルである。前期比は5四半期連続の減少、前年同期比は4四半期連続の減少となった。
概況としては、大容量ストレージ製品(マスキャパシティ製品)市場でニアラインHDDの在庫処理があまり進まず、大手顧客による需要が当初の想定よりも弱い水準にある。2023年(暦年)の年末に向けて需要の回復を期待する。
2022年10月に始めたコスト削減計画が進んでおり、2023会計年度第4四半期(2023年6月期)には年間で1億5000万米ドルのコスト削減を達成する見込み。また、さらなるコスト削減策を4月20日に発表した。2024会計年度第1四半期(2023年7月〜9月期)に始まるこのコスト削減策では、年間で2億米ドルのコスト低減を計画する。
製品開発では、熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)方式の大容量HDDで品質確認用サンプルの出荷を2022年4月に特定顧客向けに開始した。記憶容量は30TB(テラバイト)を超える。既存製品では20TBを超える大容量HDDが主流となっており、2023会計年度第3四半期(2023年1月〜3月期)はニアライン向けで総出荷記憶容量の3分の2を占めた。
営業損益にはNon-GAAPベースとGAAPベースがある。Non-GAAPベースの営業損益はわずかながら黒字で、6500万米ドルとなった。前四半期(前期)比40.4%減、前年同期比86.2%減である。粗利益率は18.7%で、前期(前四半期)から2.7ポイント低下した。売上高営業利益率は3.5%で、前期に比べて2.3ポイント減少した。
GAAPベースの営業損益は2期連続の赤字となった。営業損失は3億1500万米ドルで、前期(前四半期)の1億6000万米ドルから2倍近くに増加した。粗利益率は17.2%で前期の13.0%から4.2ポイント増えたものの、事業再構築費用3億米ドルを計上したことなどが響いて営業損益は赤字となった。売上高営業利益率はマイナス16.9%である。前期はマイナス8.5%だった。
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