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5G時代の新たなセルラーIoT技術「RedCap」とは何か2026年以降に市場が成長する見込み(2/3 ページ)

「RedCap」は、ウェアラブル機器など、小型で低消費電力のIoT機器を、5Gで接続しやすくするための拡張機能だ。本稿では、RedCapの仕組みや利点を解説する。

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RedCapにおけるコストと性能のトレードオフ

 RedCapデバイスは、複雑さやコスト、消費電力を削減するために5Gの標準的なデバイスよりもアンテナの数を減らしています。これにより、コスト削減だけでなく、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)レイヤーの最大数も削減できます。RedCapデバイスは、ダウンリンクで2×2 MIMO、アップリンクでSISO(Single-Input Single-Output)のみをサポートしています。

 また、RedCapは、PA(パワーアンプ)のコストを抑えるために、標準的な5G UEと比べてデバイスの帯域幅も制限しています。RedCapデバイスが使用する帯域幅は、FR1(Frequency Range 1/サブ6GHz帯)の周波数帯で20MHz、FR2(ミリ波帯)では100MHzとなっています。


表3. RedCapコスト削減のメリットとトレードオフ[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 3GPPリリース17で導入された、RedCapデバイスのもう一つのコスト削減策は、半二重FDD(周波数分割複信)伝送のサポートです。半二重FDDでは、全二重FDDに必要なデュプレクサではなく、スイッチを使用することで大幅にコストを削減できますが、RedCapデバイスには欠点もいくつかあります。RedCapデバイスは、送信と受信を同時に行うことができないので、半二重FDDを使用するデバイスには次の制約が存在します。

  • 同じシンボルセットでダウンリンクとアップリンクのスケジューリング情報を検知しない
  • アップリンクモードの設定中は、ダウンリンクのメッセージを監視できない
  • ダウンリンクを監視している間は、アップリンク制御情報を送信できない

 干渉が発生した場合、RedCapデバイスは、その特定の実装に基づいて処理を決定します。

RedCapの省電力機能

 RedCapは、電力効率を高め、消費電力を最小限に抑えて、RedCapデバイスのバッテリー寿命の延長を実現します。例えばRedCapでは、完全な5G仕様と比較して、縮小されたネットワーク監視スキームを採用しています。RedCapデバイスは、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)で監視されるブラインドデコードと制御要素の数を制限し、これらのタスクに必要な電力量を削減します。

 RedCapが実装するもう一つの省電力化技術は、eDRX(拡張不連続受信)です。RedCapは、デバイスがネットワークから遮断されたときやアイドル状態になったときにeDRXサイクルを向上させ、RedCapデバイスのバッテリー寿命を大幅に伸ばします。eDRXサイクルが長くなることは、定置型の無線センサーなどの特定のユースケースで特に価値があります。

 また、RedCapは、セル端に配置されていないデバイスの無線リソース管理(RRM)要件を緩和し、無線リソース制御(RRC)で非アクティブ状態を導入して、UEがRRC接続状態に移行しなくても小規模なデータ送信を行うことができます。いずれの機能強化も、RedCapデバイスの省電力とバッテリー寿命を延ばすために実装されたものです。

RedCapデバイスの複雑さの軽減

 RedCapデバイスの複雑さを軽減するための簡素化も実現しています。簡素化により、消費電力とデバイスコストも低減できますが、その主な目的は、極めて小型の機器や、従来とは異なるフォームファクターのデバイス(スマートグラスなど)にも、RFコンポーネントを搭載できるようにすることです。

 デバイスの複雑さを軽減するため、RedCapでは、シングルキャリアのみ(キャリアアグリゲーションはサポートしていない)、シングル接続のみをサポートし、RedCapデバイスは5G SA(スタンドアロン)モードでのみ動作します。RedCapは、5Gパワークラス3をサポートし、デバイスの等価等方放射電力(EIRP)を制限して、バッテリーサイズを小さくします。

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