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ぜい弱なPCB業界の再建に向け苦悩する米国半導体製造への再投資を進めるも(1/2 ページ)

半導体製造への再投資を加速する米国。だが、専門家たちは米国のエレクトロニクスサプライチェーンのぜい弱性を指摘する。その一つがPCB(プリント配線板)だ。

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 専門家たちは米国EE Timesの独占インタビューの中で、「米国政府は最近、ほぼ消滅した状態にあるPCB(プリント配線板)業界を再構築するための取り組みを進めているが、これは国内のエレクトロニクスサプライチェーンの中の最も弱い分野に対する、暫定的かつ不十分な措置だといえる」と述べている。

 米バイデン大統領とカナダのジャスティン・トルドー首相は2023年3月24日(現地時間)、半導体をはじめとする基幹技術の北米における製造をサポートしていく上で、両国が資金を拠出する予定であることを発表した。この合意に基づき、PCB製造向けに5200万米ドルの資金が投入されるという。

 バイデン大統領は2023年3月27日に、「国防生産法(DPA:Defense Production Act)に基づきPCBの国内製造を拡大するという措置は、基幹技術の不足によって国家安全保障が著しく損なわれる可能性を回避するために必要だ」とする判断を示した。

PCBAAのDavid Schild氏 出所:PCBAA
PCBAAのDavid Schild氏 出所:PCBAA

 非営利組織であるPrinted Circuit Board Association of America(PCBAA)でエグゼクティブディレクターを務めるDavid Schild氏は、EE Timesの独占インタビューの中で、「1950年代初めに制定された法律であるDPAは、政府が、国防や国家安全保障のために重要であると判断したことを、非効率かつ官僚主義的な手続きなしにもっと迅速に実行できるようにするためのものだ。今回ホワイトハウスが、『PCBをDPAの適用下に分類する』と宣言したということは、米国防総省が既に割り当て済みの資金を使えるようになるということだ」と述べている。

 PCBAAが提供したデータによると、世界PCB生産量全体に占める米国の割合は、約25年前は30%だったが、現在では4%まで激減しているという。一方、中国のシェアは、同じ期間に8%から54%に急増している。Precedence Researchの予測によると、世界PCB市場は、2021年には780億米ドル規模だったが、2030年にはその約2倍となる1280億米ドル規模に達する見込みだという。

 現在、データセンターからドローンに至るまで幅広い電子システムに搭載されている、半導体チップやさまざまな部品を接続する基板の大半は、米国の戦略的敵対国である中国で製造されている。中国と米国は、これまで6年以上にわたり、技術分野における優位性確立をめぐって冷戦を激化させてきた。

禁輸措置のシナリオ

 Sanminaでテクノロジーコンポーネントグループ担当プレジデントを務めるHari Pillai氏は、EE Timesの独占インタビューに応じ、「PCBに対する禁輸措置の適用を回避するためには、膨大な生産能力が必要になる」と述べる。

 米国最大手のPCBメーカーであるSanminaは、事業全体の約60%を防衛関連の製造に依存していて、戦時中の需要急増に対応するために生産能力を強化することは難しいだろう。

 Pillai氏は、「われわれは、米国内での出荷数量を短期間で4倍に増やすことができなかった。どの競合メーカーも、米国内で大量の余剰生産能力は持っていないだろう」と述べる。

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