愛に飢える筆者が、自分で自分を抱きしめてきた:「寂しくなったら自分を抱け!」(1/2 ページ)
最後に「ハグ」をしたのはいつだろうか。子供の頃は多かったハグの機会も、年を重ねるに連れて減っていると思う。Dentsu Lab Tokyoが開催した、自分で自分を抱きしめる「Hugtics」の体験会に筆者も参加してきた。
自分で自分を抱きしめる――。そんな体験ができるテクノロジーが登場した。
電通のR&D組織であるDentsu Lab Tokyoは2023年5月15日、ベスト型ハグ体験テクノロジー「Hugtics」を使った、“自分で自分を抱きしめる”体験型デモンストレーションを実施した。同組織は、ハグを通じたメンタルヘルスの向上やストレス軽減を目指している。
Hugticsには、2つの専用デバイスが必要だ。38個のセンサーを搭載したマネキン型デバイス(以下、マネキン)と、人工筋肉を12カ所に取り付けたベスト型デバイス(以下、ベスト)である。マネキンを抱きしめるとセンサーでハグの接地面や強さを検知する。検知した情報はベストに転送され、その情報を基に人工筋肉を伸縮させることでハグを再現する仕組みだ。
ベストを着てマネキンを抱きしめれば、まるで“自分が自分にハグされている”ような、セルフハグの感覚を味わえるし、他の誰かがマネキンを抱きしめれば、まるでその人にハグされているような感覚を味わえる。なお、センサーで取得したハグのデータは保存可能なため、生前にデータが記録されていれば、時代を超えて故人のハグを感じることもできる。
筆者もハグを体験、幸せな気持ちになってきた
ここからは、愛に飢える筆者が体験したセルフハグについて実況する。
まずは、王道のフロントハグ、マネキンを正面から抱きしめてみた。マネキンを抱きしめると、ほとんど遅延がなくベストからハグの感触が伝わってきた。その昔、「あなたのハグは、武道の技(抑え込み)をかけられている気分になる」と言われたことがある筆者だが、今回初めて“自分に抱きしめられてみて”、その気持ちが十分に理解でき、反省した。
続いてバックハグ。ベストの前面には人工筋肉がないため、抱きしめる手の位置によっては、手の感触を再現できない部分もあった。Hugticsの研究/開発者で、工学博士の高橋宣裕氏は、「人工筋肉の位置については、改良の余地がある。ハグのベクトル(腕の回し方)なども含め、今後、最適化していきたい」と説明した。
フロントハグは、あいさつや感極まった時に友人とする場合もあるが、バックハグは特別な関係でしかすることがないため、少々緊張感が高まった。また、まさか大人になって、大勢の人に見られながらハグをするとは思いもよらず、この時点では、まだ気恥ずかしさや目新しさが勝って、なかなかハグに集中できなかった。
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