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人の動作をまねるロボット、ニューロモーフィックを搭載スイスSynSenseがチップを開発(1/2 ページ)

スイスの新興企業SynSenseは、同社のニューロモーフィックプロセッサを搭載したトイロボットを披露した。SynSenseの技術と戦略を聞いた。

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 スイスのスタートアップであるSynSenseは中国の汕頭(澄海)国際玩具見本市で、ニューロモーフィックプロセッサとダイナミックビジョンセンサー(DVS)を組み合わせた同社のモジュール「Speck」をトイロボットに搭載して披露した。中国のインテリジェントトイメーカーであるQunYuが開発したこのロボットは、腕を組んだり拍手したりといった人間のジェスチャーをまねることができる。

 SynSenseのグローバルリサーチオペレーション担当バイスプレジデントを務めるDylan Muir氏は米国EE Timesに対し、「玩具市場は全般に、当社にとって非常に興味深い市場だ。非常に大量の商品を扱う市場で常に魅力的であるが、アプリケーションの精度要件はそれほど厳しくない。トイロボットが20回に1度ジェスチャーを見逃したとしても、問題はない。高解像度CCTV(Closed Circuit Television System、閉回路テレビ)や自動運転と比較して、はるかにシンプルで簡単なアプリケーションであることも魅力だ」と語った。

SynSenseの「Speck」モジュールを搭載した、QunYuのロボット
SynSenseの「Speck」モジュールを搭載した、QunYuのロボット[クリックで拡大] 出所:SynSense

 Muir氏は、「玩具を扱っているからといって、当社がより要件の厳しい産業用ロボットアプリケーションにも取り組めないわけではないが、玩具は“容易に達成できる成果”だ」と語った。

 同氏は、「玩具市場は、当社が参入し、大量出荷と実用的な製品の出荷が可能であることを示すのが非常に簡単な初期市場である。これは、当社のような段階にある企業にとって明らかに重要である」と語った

 ダイナミックビジョンセンサーは、人間の網膜をベースにしていて、“イベント”と呼ばれるシーンの変化にのみ応答し、シーンの低帯域幅バージョンを生成する。この低帯域幅データは、フルフレーム画像よりも高速に処理できる。SynSenseのSpeckモジュールに搭載されているDVSカメラはスイスのIniVation製だが、SynSenseはフランスのPropheseeとも提携して、さまざまな市場をターゲットにした、より高解像度なモジュールも開発している。

ニューロモーフィック処理とカメラは「相性がいい」

 Muir氏は、「DVSカメラとSynSenseの製品のようなニューロモーフィックプロセッサの間には明らかな相乗効果がある」と述べている。「フルフレーム変換を行わずに、非常にまばらな画像ストリームを使用できるため、ビジョンストリームから最大限の効率を引き出すことができる」(同氏)

Speckモジュールの外観
Speckモジュールの外観[クリックで拡大] 出所:SynSense

 Muir氏が「ニューロモーフィック処理と併用することで、DVSカメラの商用展開が成功する可能性が最も高くなる」と考える理由は、この相乗効果にある。

 同氏は、「私的な見解だが、これまでのところ商用利用が遅れている主な理由の一つは、コモディティハードウェアを使用して“フルフレームに変換せずに”データを処理する簡単な方法がないことだと考えている」と述べている。

 現時点では、SynSenseのスパイキングニューラルネットワークアクセラレーターのようなニューロモーフィックプロセッサも採用が遅れている。

 Muir氏は、「私は顧客と話す際、『ニューロモーフィック』という単語を使わないし、スパイキングニューラルネットワークやDVSセンサー、イベントベースのイメージングについても話さない。顧客はそんなことは気にしていないからだ。顧客が気に掛けているのは、その製品がどんな機能を提供できるのかということだ。具体的には、それが適切に機能するのか、コストやエネルギー消費量はどうなのか、性能はどうなのかなどを指標にしている」と述べる。

 「代わりにSynSenseは、カメラとプロセッサモジュールを“スマートセンサー”または“ジェスチャーセンサー”として販売する市場アプローチを採っている」と同氏は付け加えた。

 Speckは、128×128ピクセルのIniVation製DVSカメラとSynSenseのスパイキングニューラルネットワークプロセッサ「Dynap-CNN」を組み合わせている。Dynap-CNNは、ビジョンアプリケーション(畳み込み)用に調整された非同期デジタルアーキテクチャを使用している。シンプルな積分発火ニューロンモデルを用いていて、出力がない場合はニューロンの状態が減衰しないので計算要件が軽減される。

 ジェスチャー認識のための連続推論を実行するSpeckモジュールは、ジェスチャーインタラクション中に平均8.74mWの総有効電力を使用する。

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