成長の核はSiC、生産能力5倍に 三菱電機のパワー半導体:SiCの売上高比率30%目指す(1/3 ページ)
三菱電機は2023年5月、オンラインで経営戦略説明会「IR Day 2023」を開催。半導体・デバイス事業本部長の竹見政義氏が、SiCパワーデバイスに関する取り組みを含めた同事業の成長戦略を語った。
三菱電機は、重点成長事業とするパワーデバイス事業の強化に向けて、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に照準を合わせている――。同社は自動車向けを中心としたSiC製品の開発/市場展開に注力すると同時に、2026年度にはSiCの生産能力を約5倍(2022年度比)にまで増強する大型投資も計画。パワーデバイス事業におけるSiCの売上高比率を2030年度に30%以上にするという目標を掲げ、取り組みを強化している。2023年5月29日に同社がオンラインで開催した経営戦略説明会「IR Day 2023」でも、半導体・デバイス事業本部長の竹見政義氏が、SiCパワーデバイス領域を強調しつつ、同事業の成長戦略を語っていた。
SiC採用が加速する自動車分野がターゲット
三菱電機の半導体・デバイス事業の2022年度売上高は2815億円で、その約75%を占めるのが、同社が重点成長事業とするパワーデバイス事業だ。同事業の2022年度売上高は2100億円、営業利益率は8.4%だったが、同社はこれを2025年度にそれぞれ2400億円以上、10%以上にまで高める計画を立てていて、「現状は計画通り推移している」という。
同社はパワーデバイス事業の基本戦略として、産業、再生エネルギー、電鉄分野を事業のベースロードとしつつ、「特に高い市場成長が見込まれる自動車分野と、当社が強いポジションを保持している民生分野を成長ドライバーと位置付けさらに強化し、売り上げの拡大を図る」(竹見氏)としている。
足元では、主力のシリコン製品において標準化/共通化の推進や戦略製品の拡大による製品ポートフォリオ変革を推進。さらに福山工場(広島県福山市)での8インチラインによる生産拡大および2024年度に稼働予定の12インチラインによって、2025年度には生産能力を2倍に増強(2020年度比)するなど生産性も高めている。竹見氏は、これらの取り組みによって収益力を強化すると同時に、「次の成長に向けた事業基盤の構築に着実に取り組んでいく」と述べていた。
その上で、今後の市場拡大を見据えて、同社が成長の中核に据えるのが、SiCだ。特に自動車分野は2022〜2025年度、年平均成長率(CAGR)21%と急拡大することが見込まれている市場だが、竹見氏は、「電動化の進展やSiCの採用加速によって、自動車分野が大きく(パワーデバイス)市場をけん引していくと考えられている。当社は自動車分野においてSiCのさらなる強化を図っていく」と強調。同社は、パワーデバイス事業におけるSiCの売上比率を2030年度までに30%以上にすることを目指し、自動車向け製品の開発/次世代化の加速およびグローバル拡販の強化などを進めるとしている。
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