この記事は、2023年6月5日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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生成AIと半導体業界
OpenAIによる生成AI(人工知能)「GPT」シリーズをベースとした対話型AI「ChatGPT」は、2022年11月に公開されて以来、世界的なブームとなっています。現在、私は日本の実家に帰省中(普段はドイツを拠点にしています)なのですが、新聞を見ても日々どこかに「ChatGPT」や「生成AI」の見だしがあったり、66歳の父にその話題を振っても当たり前のように話についてきたりと、改めて一般社会への浸透の速さを実感しています。2023年5月にはChatGPTのiOSアプリの提供が開始されたので、一般での利用はさらに拡大していくのでしょう。
産業界においても、ChatGPTを含む生成AIの利用が拡大しています。筆者が取材に赴いた世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」(ドイツ・ハノーバー/2023年4月17〜21日)でも、MicrosoftやHewlett Packard Enterprise(HPE)、Siemens、Beckhoff Automationなどさまざまな企業が、生成AIの製造業導入例を紹介。災害時にサプライヤーの被害状況を調べ、状況を確認するメールの下書きを自動で作成するシステムや、書きかけのコードを完成させるシステム、自然言語による対話で協働ロボットの操作をサポートするシステムなどさまざまな可能性が示されていました。
それでは、半導体業界に限った場合、生成AIはどのような影響を与えるのでしょうか。
NVIDIA、TSMCなど、GPU/AIチップのサプライチェーン全体に利益
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