映像の「奥行き」をカメラ1台で判別、JDI:液晶パネル1つで実現(1/2 ページ)
ジャパンディスプレイは、「Smart Sensing/無人化ソリューション展」(2023年5月31日〜6月2日)に出展し、同社の液晶パネル技術を活用した3次元撮影技術やホバーセンサー技術を用いた非接触タッチパネルなどを展示した。
ジャパンディスプレイ(JDI)は、「Smart Sensing/無人化ソリューション展」(2023年5月31日〜6月2日/東京ビッグサイト)に出展し、同社の液晶パネル技術を活用した3次元撮影技術などを展示した。
展示した3次元撮影技術は、同社で開発した特殊な液晶パネル(厚さ1〜2mm)を一般的なカメラレンズユニットおよびイメージセンサーと組み合わせることで、撮影した映像から光学的物理量を抽出して演算。撮影した映像の「奥行き」(Z軸)情報を1台のカメラで割り出すことを可能にするというものだ。
光学カメラのピントが合う位置から撮影対象の距離がズレると、撮影した映像にボケが発生し、ズレ量に応じて大きくなるこのボケ量から距離が演算できる。JDIの技術では、ここに液晶パネルに表示した特殊なパターンを重ねて撮影することで、演算精度を向上させているという。映像を3次元解析する際には、組み込んだパターンを認識し、近い場所は赤色、遠い場所は青色など、色で「奥行き」を表現している。なお、カメラは、特殊なものを使用する必要はなく、通常のもので対応可能だ。また、得意とする撮影距離(ピント位置)は、カメラの性能や特性に依存するという。
組み込んだカメラは、液晶パネル部分の表示モードを制御することで、通常の映像撮影も可能だ。JDIは同技術について主に監視カメラへの組み込みを想定している。通常時は普通のカメラとして撮影しつつ、有事の際には簡単に立体解析ができるようになるという。
従来の立体解析手法では、複数台のカメラの映像から奥行きを割り出す必要があり、データの照合に手間と時間がかかっていた。AI(人工知能)を活用した立体解析技術も存在するが、担当者は「AIでは推測の域を出ないので、何かの証拠として使用する場合などは、現実に即した映像を撮影できるデバイスが必要だ」と説明した。
今後の課題について、担当者は「現在は、原理的に動くかどうかを検証している段階だ。カメラに液晶パネルを組み込むことで、どうしても機器に厚みがでたり、撮影した映像が暗くなったりと、撮影結果に少なからず影響がある。この影響を最小限に抑える研究も進めていく必要がある。また、今後は、液晶パネルを組み込むだけではなく、外付けできるように改良していきたい。JDIの強みである液晶ディスプレイ技術を生かし、1〜2年以内には、製品化/販売を目指す」と語った。
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