映像の「奥行き」をカメラ1台で判別、JDI:液晶パネル1つで実現(2/2 ページ)
ジャパンディスプレイは、「Smart Sensing/無人化ソリューション展」(2023年5月31日〜6月2日)に出展し、同社の液晶パネル技術を活用した3次元撮影技術やホバーセンサー技術を用いた非接触タッチパネルなどを展示した。
ホバーセンサー技術を活用した非接触タッチディスプレイ
同社は、非接触でも検出感度の高い外付けタッチディスプレイを展示した。静電容量方式のホバーセンサーを使ったディスプレイで、PCやモニターに外付けすることで、簡単に非接触操作が可能になる。活用場面は、医療機関や教育現場、小売りなどの、人が多く衛生環境が重視される場所を想定している。
モニターサイズは7〜20型まで対応していて、モニターとディスプレイの間は7〜8mmの隙間が空いている。検出感度は120フレーム/秒(fps)で、検出距離は調整可能だ。デモでは、検出距離5cmで、モニターに表示されたボタンを非接触でタッチする様子が披露された。
担当者は「コロナ禍で開発を始め、2022年4月からはサンプル出荷もしていて、顧客からは反応感度などを評価されている。現状は、タップ動作のみに対応しているが、将来的にはピンチイン/アウト(画面の縮小/拡大)への対応も検討していきたい」とコメントした。
X線や生体スキャンの代替手段に、電気トモグラフィー
同社は、電気トモグラフィーに関する研究も展示した。
電気トモグラフィーは、被検体に巻き付けた電極からさまざまなベクトルで電気を流し、その被検体の電気抵抗によって内部構造を断層的に認識する技術だ。X線やMRIなどの放射線被ばくリスクを避けながら、内部構造が把握できる技術として注目されている。担当者によると、「理論上は、液体や固体を問わず、電極と直接的/間接的に接していれば検知可能だ」という。
ブースでは、水の中に入れた鉄の棒(導体)と樹脂の棒(絶縁体)を認識するデモを実施。電気抵抗の少ない鉄の棒は青色で、電気抵抗の大きい樹脂の棒は赤色でそれぞれ識別されている様子が確認できた。
担当者は「まだ原理検証をしている段階だ。この技術が実現すれば、X線やMRIなどの大型な医療機器を使わずとも、腕や身体に電極を巻き付けるだけで、人体内の状況を把握できるようになるだろう」とコメントした。
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