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2024年半導体市場の2ケタ成長は可能なのか? ―― WSTS春季予測を考察大山聡の業界スコープ(66)(1/2 ページ)

2023年6月6日、WSTS(世界半導体統計)は2023年および、2024年の半導体市場予測を発表した。半導体市場のこれまでの状況を踏まえながら、今後の見通しについて考えてみたいと思う。

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 WSTS(世界半導体統計)は2023年6月6日、2023年および、2024年の半導体市場予測(2023年春季予測)を発表した。2022年11月発表の前回予測(2022年秋季予測)では、2023年の成長率を前年比4.1%減と予測していた。今回予測はこれを同10.3%減に下方修正した。2023年4月までの半導体市況を見る限り、これまでの出荷実績は同21.2%減と低迷している。下方修正は当然の措置と言えるだろう。翌2024年については同11.8%増と2ケタのプラス成長を予測している。これを実現させるためには、市況がどこかで好転することが条件となる。では、何がキッカケとなりうるのか。それはどのタイミングなのか。これまでの状況を踏まえながら、今後の半導体市場の見通しについて考えてみたい。

ディスクリートは、23年に引き続き2桁成長を期待

 WSTSの今回予測によると、ディスクリートについては2023年の市場規模を前年比5.6%増と見込んでいる。2023年1〜4月の実績を見ると同11.5%増であり、予測はやや控え目に見える。小信号トランジスタ市場は、2023年1〜4月実績が同23.6%減と低迷しているが、ディスクリート全体の3分の2を占めるパワートランジスタ市場は同実績が同25.5%増、極めて好調に推移している。このデバイスはクルマの電動化に不可欠であること、トップシェアを誇るInfineon Technologiesのパワートランジスタ専用300mmウエハーラインが稼働を開始して出荷が増える見込みであることを考えれば、当面は高い成長を維持できるだろう。ディスクリート全体で同10%前後の成長は十分可能だと思われる。2024年の市場規模予測は同6.4%増となっているが、2023年と同様、2ケタのプラス成長を期待しても良いだろう。

2023年春季半導体市場予測
2023年春季半導体市場予測[クリックで拡大] 出所:WSTS

 光半導体は同4.6%増と予測している。2023年1〜4月実績を見ると同2.2%増。この市場は約半分がイメージセンサーで占められており、こちらは2023年1〜4月実績が同3.9%増で推移している。現状の傾向から考えると2023年は順当な予測と言えるだろう。2024年予測は同0.1%減になっている。スマホ1台当たりのイメージセンサー搭載数量がどう変化するかによって見通しが大きく変わるので、その動向を見守る必要がある。

 センサーの2023年市場規模予測は同6.3%減という予測。2023年1〜4月実績を見ると同9.8%減、これまでずっとプラス成長を維持してきたが、2023年はマイナス成長となる可能性が高い。車載需要は堅調のはずだが、スマホ向けが伸び悩んでいることが原因と推察される。2024年予測は同5.7%増。スマホ向けの需要が復活すればもっと高い成長が期待できそうだが、現時点で予断は禁物だろう。

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