日本の半導体復活の鍵は「TSMCやRapidusだけじゃない」:経産省 荻野氏が力説(1/3 ページ)
経済産業省 商務情報政策局 デバイス・半導体戦略室 室長の荻野洋平氏は、「電子機器トータルソリューション展」のセミナーに登壇し、日本の半導体戦略について語った。政府が、TSMCやRapidusなどの前工程だけでなく、「後工程」や「光電融合技術」も重視していることを強調した。
経済産業省(経産省)商務情報政策局 デバイス・半導体戦略室 室長の荻野洋平氏は2023年5月31日、半導体パッケージング/部分内蔵技術に関する展示会「電子機器トータルソリューション展」(2023年5月31日〜6月2日/東京ビッグサイト)で、「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題した基調講演に登壇し、政府の半導体戦略の方向性などを語った。
日本の「後工程」や「光電融合技術」でゲームチェンジを起こす
荻野氏は「メディアでは、TSMCの熊本工場建設やRapidusなどの前工程の話が取り上げられがちだが、国としては後工程にも重要性を感じている。日本は、後工程の素材/装置分野共に高い技術とシェアを持っている。国が支援しているプロジェクトの数も後工程の方が多く、支援を始めたのも早い」と説明した。
同氏は「各国は、AI(人工知能)、量子技術などのエマージング技術の研究を進めている。各分野はもちろん、半導体業界にとっても、どこの国がリードするかが非常に重要だ」と述べ、日本に強みがあり、ゲームチェンジになると期待している技術として、「光電融合技術」や「光チップレット」を紹介した。
光電融合技術は、電子デバイスに光エレクトロニクスを融合し、電気配線を光配線に置き換えることで、省エネ化や低遅延化を目指すもの。ネットワークシステム全体で電力消費を100分の1に抑えられるとする。日本は、次世代半導体や光電融合等の研究開発や、2030年代での社会実装に向け、官民合計で約6兆円以上の投資を予定している。
光チップレットは、半導体パッケージ内部に光電変換デバイスを実装することで、消費電力を抑制する。日本は、先端の半導体パッケージ戦略として、2020年代後半までに2.5D/3Dパッケージング技術やシリコンブリッジ、ハイブリッドボンディングなどを開発し、2nm世代以降で必須となるチップレット技術を確立する。その後、2030年代には、光チップレットやアナログ/デジタル混載のSoC(System on Chip)の実現を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.