日本の半導体復活の鍵は「TSMCやRapidusだけじゃない」:経産省 荻野氏が力説(2/3 ページ)
経済産業省 商務情報政策局 デバイス・半導体戦略室 室長の荻野洋平氏は、「電子機器トータルソリューション展」のセミナーに登壇し、日本の半導体戦略について語った。政府が、TSMCやRapidusなどの前工程だけでなく、「後工程」や「光電融合技術」も重視していることを強調した。
半導体は、安全保障において非常に重要
半導体は、デジタル社会の進展やカーボンニュートラルの要求の増大と共に重要性が増し、今や「半導体の確保が国や地域の安全保障に関わる、国家安全保障上の重要物資」(同氏)といえる。一方で、中国の上海ロックダウンやロシアのウクライナ侵攻により、半導体の供給難やエネルギー価格の高騰など、半導体サプライチェーンの脆さが露呈した。
各国では、半導体の安定的な生産基盤を確保するために、半導体支援策を実施している。米国では、2022年8月に「The CHIPS and Science Act of 2022(CHIPS法)」が成立し、半導体関連の設備投資に5年間で390億米ドル、R&D基金にも5年で110億米ドルの資金提供を決めた。欧州は、2022年2月に「欧州半導体法案」を発表。2030年までに430億ユーロ規模の官民投資を計画している他、欧州内での半導体確保に関する相互協力なども盛り込まれている。
半導体産業復活に向けた3ステップ
荻野氏は、半導体産業復活に向けた戦略を3ステップに分けて説明した。
ステップ1では、IoT(モノのインターネット)用の半導体生産基盤を強化し、急増する需要に対応する。ステップ2では、次世代半導体開発に関する日米連携を強化し、国内での技術習得および生産体制を確立する。ステップ3では、グローバルな連携強化で、光電融合技術や光チップレット技術などの将来期待される技術の実現や普及を前倒しする。
同氏は「半導体分野は、重要度および緊急度が高い技術だ。日本は、国内での積極的な支援を行い、海外とも連携を図る。国内外の各企業/団体には、今後も日本における取り組みを強化してほしい」と呼びかけた。
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