逆風下のDRAM/NAND市場、Yoleが最新市場分析を発表:23年後半からは回復の兆し(1/2 ページ)
フランスの市場調査会社Yole Groupは2023年6月27日、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。両市場とも、2023年後半から回復に向かうと予測する。
フランスの市場調査会社Yole Group(以下、Yole)は2023年6月27日(フランス時間)、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。同社は両市場とも、2023年後半から回復に向かうことを予測している。
Yoleによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによるサプライチェーンへの懸念や、2022年下半期に見込んでいた需要の伸びへの期待感からメモリ在庫を増加させてきた各メーカーは現在、バランスシートのリスクを回避し、メモリ在庫を急速に削減する過程にある。その結果、DRAM/NANDの需要が劇的に減少しているという。
IntelとAMDの最新サーバプラットフォームは2022年後半、ようやくメーカーに出荷されたが、Yoleは、「その認定には6カ月程度かかるため、当面のサーバ出荷と関連メモリ需要には逆風となる」と説明。メモリサプライヤーは生産の伸びが需要を上回り続け、多くの在庫を抱えている状態だ。
DRAM価格は23年第2四半期も10%下落
メーカーおよびメモリサプライヤーの在庫の増加と需要の悪化が相まって、メモリ市場は深刻な下降局面に入っている。Yoleによると、DRAM市場は2022年第2四半期後半から2022年後半を通じて悪化。DRAM価格は2023年第1四半期に前四半期比で15%以上、同年第2四半期にも同10%以上、下落したという。
Yoleは、DRAM市場の2023年の見通しについて、「マクロ経済の不確実性が目先の需要予測を非常に不安定なものにしている」としつつも、サプライヤーの積極的な対応が、「過去最低レベルの生産増」をもたらし、2023年下期には市場の均衡を取り戻すと予測。一方で、サプライヤーの在庫が正常化するのには数四半期を要する可能性があるとしている。
中長期的には、データセンター需要で大きく成長へ
なお中長期的な視点では、世界的なコンピューティング需要の増加がDRAM需要の追い風となると予測。Yoleは、データセンター向けのDRAM需要が今後5年間、30%以上の成長率で伸びると予測していて、DRAM全体の需要も同期間に年率20%以上の勢いで増加することを見込んでいる。Yoleは、「AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)が絡み合い、コンピューティング需要、ひいてはDRAM需要に強い追い風が吹くだろう」と述べている。
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