逆風下のDRAM/NAND市場、Yoleが最新市場分析を発表:23年後半からは回復の兆し(2/2 ページ)
フランスの市場調査会社Yole Groupは2023年6月27日、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。両市場とも、2023年後半から回復に向かうと予測する。
NAND価格、23年第1四半期も16%下落
NAND価格は、2022年第3四半期と第4四半期、ともに前四半期比で20%以上、下落。2023年第1四半期にも同16%の下落となった。Yoleによれば、全NANDサプライヤーが2023年第1四半期に損失を計上していて、平均営業利益率はマイナス51%と、前年同期の16%から大きく低下した形になったという。
こうした状況から全てのNANDサプライヤーが出荷を減らし、工場稼働率の削減などを発表したほか、2023年の設備投資計画も引き下げている。Yoleは、世界のNANDの設備投資が前年比40%以上減少すると予想している。
Yoleは、2023年のNAND市場について、サプライヤーの積極策により過去最低レベルの生産増が見込まれることや、在庫水準が正常化しメーカーの購買活動が正常化すること、さらに中国のパンデミックからの回復などを要因に、2023年後半には回復に向かうと見込んでいる。
NAND市場の長期的な見通しについては、「新たなメガトレンドが、データ生成とローカル/エッジ/クラウドストレージの要件における大規模な成長を促進している。HDDからNANDベースのSSDへ置き換えが進むことで、堅調な需要増が市場を新たな高みへと押し上げるだろう」と説明。一方、NANDの競争力は、複数の大手サプライヤーの存在や低い利益率、資本集約度の上昇などによって、厳しい状況にあるとも指摘している。
NAND需要の主な促進要因としては、ハイパースケーラーや従来のエンタープライズメーカーにおけるエンタープライズSSD、PCやゲーム機におけるSSD採用の増加、スマートフォンなどのモバイル機器における継続的なコンテンツ増加を挙げる。さらに、「これらのセグメントがNANDビット消費の大部分をけん引し続けるだろうが、AIやVR(仮想現実)、自律走行、IoTなどの新たなトレンドが将来の成長を加速するだろう」(Yole)とも述べている。
なお、業界では、NANDアーキテクチャの3D構造へのシフトと継続的な層数の増加に向けた設備投資が加速しているが、Yoleは、「層数の増加とQLC(およびPLC)の出現にもかかわらず、プロセスや製造の複雑さが上昇し続けるため、技術主導のビット成長は鈍化するだろう」としている。
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