検索
インタビュー

「日本は有利」、自動車と産機で事業拡大を狙うオンセミ社長就任1年半後の林孝浩氏(1/3 ページ)

2022年3月にonsemiの日本法人社長に就任した林孝浩氏に、この1年半の変化や、onsemiの戦略について聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 米onsemiの日本法人オンセミの代表取締役社長に、2022年3月に就任した林孝浩氏。約1年半が経過した現在のオンセミの立ち位置や戦略について、同氏にあらためて聞いた。


オンセミの代表取締役社長 林孝浩氏

コロナ禍を経て日本の顧客にも変化

――onsemiの2022年通期の業績はいかがでしたか。

林孝浩氏 2022年の売上高は83億米ドルだった。前年比で24%増と力強い成長を遂げた。

 2023年第1四半期(1〜3月期)の売上高は19億6000万米ドルで、地域別の売上高比率はアジアが51%、北米が20%、日本が8%となっている。

 分野別の売上高比率はオートモーティブがちょうど半分を占める。同分野の売上高は前年同期比で38%増加した。さらに、オートモーティブとインダストリアルを合わせた売上高は全体の79%を占めている。1年前は65%だった。

 当社CEOのHassane El-Khoury(ハッサーン・エルコーリー)氏は2021年に、オートモーティブとインダストリアルで、「今後5年間で75%にする」という目標を掲げた。つまり、この目標を前倒しで達成したことになる。今後も、これら2つの分野に注力していく。


2023年第1四半期(1〜3月期)の業績[クリックで拡大] 出所:オンセミ

――2022年3月に日本法人の社長に就任されてから1年半近くが経過しました。オンセミの立ち位置の変化や、日本でのビジネスの手応えについてお聞かせください。

林氏 コロナ禍による半導体サプライチェーンの混乱などを経て、半導体メーカーに対する意識や注目度が変化してきた。これまでつながりがなかった企業からのお声がけや、よりよい製品開発に向けたパートナーシップ締結の話が増えている。それが最も大きな変化だろう。

 onsemiの注力領域であるオートモーティブとインダストリアルの分野で、日本には世界的なメーカーがいくつもあることから、当社CEOも日本は重要な市場だと認識している。LTSA(長期供給計画)の締結を顧客側から提案するなど、コロナ禍を経て、日本のエレクトロニクス業界の商習慣がよい方向に変わってきたことも日本法人の追い風になっている。今後も日本企業とのパートナーシップや協業を、より強化していく。

SiCの戦略、「日本は有利」

――onsemiの戦略を、あらためて教えてください。

林氏 インダストリアルとオートモーティブという2つの分野で、センシングとパワーの製品を提供する、というのが戦略の大きな柱だ。

 中長期的には、EV(電気自動車)、最先端のセーフティ、5G(第5世代移動通信)、FA(ファクトリーオートメーション)、充電技術、電力インフラの6つの領域に、徹底的に注力していく。いずれも、2022〜2027年の年平均成長率(CAGR)が高く、今後の成長が期待される市場だ。それだけでなく、onsemiが提供できる製品が多い領域でもある。市場規模と当社製品の搭載量の両方が伸びていく分野だ。

 さらに、これら6つは互いに関係が深い領域だ。例えばEVには電力インフラや充電技術が不可欠になる。このようにエコシステム全体を見据え、点ではなく、面で技術的に貢献していくことがonsemiの戦略だ。

左=onsemiが注力する6つの領域の市場成長率/右=各領域に提供できるonsemi製品の金額の目安[クリックで拡大] 出所:オンセミ

 2022年から2027年にかけて、オートモーティブの売上高をCAGR19%で、インダストリアルはCAGR10%で伸ばしていくことを目標にしている。

――日本の売上高比率は低いですが、日本も同じ水準の目標なのでしょうか。

林氏 日本も同じ成長率の目標を掲げている。もちろんチャレンジはあるが、自動車分野にはSiCパワー半導体やADAS(先進運転支援システム)など大きなトレンドがあり、世界的な自動車メーカーが存在する日本は、むしろ他のエリアよりも有利だと考えている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る