AIの潜在能力を引き出すシリコンフォトニクス:光インターコネクトへの期待(1/2 ページ)
AI(人工知能)の世界では、より高効率かつ高速でデータを処理すべく、シリコンフォトニクス技術に注目が集まっている。
機械学習(ML)などのAI(人工知能)アプリケーションの急激な成長に伴い、業界や企業は今後、これらのシステムやツールを日常的なプロセスの中で使用していくとみられる。こうしたデータ集約型アプリケーションの複雑性が増し続けることで、コンピューティングユニット間の高速伝送や効率的な通信に対する需要が増大している。
こうしたニーズから、特にxPU(CPU、GPU、メモリなど)間のショートリーチ(短距離)接続において、光インターコネクトへの注目が高まっている。シリコンフォトニクスは現在、性能やコスト効率、熱管理機能などを向上させ、最終的には既存の手法と比べてAIアプリケーションの機能を高めることが可能な、有望な技術として台頭している。
AIにおけるシリコンフォトニクスのメリット
インターコネクトは、業界全体で高まっているAI(特にML)アプリケーションの需要を管理する上で、重要かつ特別な役割を担っている。こうしたコンポーネントは、高い計算密度を維持しながら、データを迅速に交換し、消費電力を可能な限り低く抑える必要がある。シリコンフォトニクスは、CPU/GPUなどのコンピューティングユニット間の通信を高速化することが可能だ。メモリも、AIアプリケーションの処理能力や効率を高めることができる。
レーザーの統合は、さまざまなシステムにおいて光信号の生成、変調、操作を実現する上で非常に重要だ。しかしシリコンフォトニクスでは、これが長年の課題だった。
メーカー各社は、市場の需要に遅れずに対応すべく、オンチップ光インターコネクトへの投資を開始した。
シリコンフォトニクス技術を適用した短距離光インターコネクトは、低消費電力化と熱効率(pj/bit)の向上によって、高速データ伝送を実現するソリューションを提供する。これは、発熱を削減し、システムの高効率動作を維持する上で非常に重要だ。
さらに、シリコンフォトニクスの統合により、小型化と高密度化を実現したPIC(フォトニック集積回路)の開発が可能になり、AIのワークロードに不可欠な高密度の帯域幅接続を容易に実現できる。ヘテロジニアスインテグレーションは、レーザーと導波路の間の接続を高効率化することにより、カップリングの向上と低消費電力化を実現する。さらに、新しいレーザーの開発により、熱効率やチャンネル数の拡張性を高め、チャンネル当たりの潜在的な波長数を増やすことが可能になった。
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