「あらゆる所でAIを」 次期CPUで攻勢をかけるIntel:Intel Innovation 2023(1/4 ページ)
Intelは、2023年9月19〜20日(米国時間)の2日間にわたり、デベロッパー向けカンファレンス「Intel Innovation 2023」を米国カリフォルニア州サンノゼで開催中だ。同社CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏が登壇した1日目の基調講演では、AI(人工知能)処理性能の向上を狙う新製品の詳細が多数、発表された。その中から、主に次期CPUを紹介する。
「Siliconomy」を加速するAI
IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏は2023年9月19日(米国時間)、「Intel Innovation 2023」の基調講演で、エッジからクラウドまであらゆる所でAI(人工知能)を実現する「AI Everywhere」の時代が到来していることを強調した。
Gelsinger氏は基調講演の冒頭で、シリコンによって経済活動が維持、拡大される「Siliconomy(シリコノミー:Silicon+Economyの造語)」の時代に突入していると語った。「現在、シリコン(半導体)の市場規模は5740億米ドルに達し、約8兆米ドルに上るテクノロジーの世界市場を支えている。シリコンによって実現される強力で手頃な価格のコンピューティング能力は、経済の成長にとって欠かせない要素になっている」(同氏)
さらに、Gelsinger氏は、Siliconomyを推進する上で、近年著しく進化しているAIが鍵を握ると語る。「開発者に向けて、最も優れたハードウェアとソフトウェアをできるだけ早く提供することがわれわれの役目だ」と述べ、“AI Everywhere”を実現する新しい製品や技術、製造プロセスのロードマップを紹介した。本稿では、主にハードウェアを紹介する。
「Meteor Lake」は2023年12月に発売
クライアント向けプロセッサでは、2023年に投入すると発表していた「Meteor Lake」(開発コード名)を、「Core Ultra」として2023年12月14日(米国時間)に提供開始すると発表した。
Intelは2023年6月、クライアント向けプロセッサである「Intel Coreプロセッサ」のブランディングを刷新すると発表。12月にリリースされるCore Ultraは、リブランディング後の第1弾のCoreプロセッサになる。
Coreプロセッサのリブランディングでは、
1)「Core i○」から「i」を削除し「Core」とする。従来「Core i3」「Core i5」と呼ばれていたプロセッサは、単に「Core 3」「Core 5」と呼ばれるようになる
2)「第○世代」という表記を廃止して、代わりに「Core 5プロセッサ ##xx」のように表記し、「##」の部分に世代数を入れる
3上位品種として「Core Ultra」が追加される
などが大きな変更点となる。
詳細は別途お伝えするが、Meteor Lake(Core Ultra)では「Intel 4」プロセスと、同社の3次元パッケージング技術「Foveros」を適用する。Intelが「過去40年間で、最大のアーキテクチャの変革」と強調するほど、アーキテクチャが刷新されている。
Meteor Lakeの特徴の一つは、4つの「タイル」(ダイ)で構成されることだ。CPUを集積した「コンピュートタイル」、GPUを集積した「グラフィックスタイル」、PCIeなどのインタフェースを集積した「IOタイル」、そしてWi-Fi 6E/7の通信機能やAI処理を行うエンジンである「NPU(Neural Processing Unit)」を集積した「SoCタイル」である。特に、このNPUを統合したことで、PC上で推論を実行できるようになる。
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