イスラエルとハマスの衝突、半導体業界への影響は:Intel、Towerの状況は(1/2 ページ)
イスラエルにはIntelやTower Semiconductor、IBM、Apple、ソニーグループなど約500社の多国籍企業が研究開発センターや生産拠点を置いている。イスラエルとハマスの紛争は、半導体/エレクトロニクス業界にも影響を与えている。
戦争は何よりもまず人類の悲劇だ。イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの紛争によって、既に多くの命が奪われている。同様に、経済的な犠牲も出ている。イスラエルでは現在、IntelやIBM、Apple、ソニーグループ、Microsoft、Google、Meta(旧Facebook)など約500社の多国籍企業が、イスラエルの新興企業を買収するなどし、主に研究開発センターとして運営している。
イスラエルは2015年、国内総生産(GDP)の4.3%を民間の研究開発に投じた。これは世界で最も高い比率であった。イスラエルには、エレクトロニクスや半導体の企業や施設も数多くある。
現在、イスラエルはハマスの攻撃を受け戦闘状態を宣言しているため、多くの労働者、さらにはトップレベルの幹部までもが、イスラエル国防軍(IDF)の予備兵として勤務している。
イスラエルは既に、前例のない30万人の予備兵を召集すると発表している。その多くは米国を拠点とするテクノロジー企業から動員される可能性がある。Intelなどのテクノロジー企業から予備兵が動員されると、通常の業務や生産に影響が及ぶことになる。
イスラエルで工場投資を強化するIntel
Tower Semiconductor(旧National Semiconductor)は、イスラエル北部の都市ミグダルハエメクで2つの工場を運営していて、月間5万枚以上のウエハーを生産していると推定される。主に自動車と民生分野の顧客向けにアナログおよびミックスドシグナル半導体を提供しているが、2023年10月9日時点では通常通り操業しているという。
IntelのWebサイトによると、同社はイスラエル最大の民間雇用主および輸出事業者で、ハイファとペタクティクバ、エルサレムに3つの開発センターを運営する、イスラエルのエレクトロニクスおよび情報業界のリーダーとなっているという。
最も危機的な状況にあるのは、南部の都市キルヤットガットの工場(Fab28と、建設中のFab 38)だ。Fab 28では7nmプロセスチップを生産していて、現在建設中で2024年に開設予定のFab 38は、EUV(極端紫外線)リソグラフィを適用する5nmプロセスのチップを生産するとされている。キルヤットガットは、ガザの境界線からわずか12マイル(約19km)の場所に位置する。
2023年初め、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、Intelが2027年に開設予定の別の工場に250億米ドルを投資すると発表した。同氏は、「これは、数千人の雇用と、半導体工場および設計センターの増設が期待できるイスラエル史上最大の国際投資である」と述べている。
Intelは声明の中で、「イスラエルでの製造能力を拡大するという当社の意図は、将来の製造ニーズに応えるという当社のコミットメントによって推進されるもので、イスラエル政府の継続的な支援に感謝している」と述べている。
工場は紛争地域に比較的近い場所にあるため、これらの施設と従業員の安全が懸念される。他の企業と同様に、Intelは状況を注意深く監視し、従業員の安全とサポートを確保するための措置を講じているという。
Intelの広報担当者は2023年10月9日、「当社はイスラエルの状況を注意深く監視し、従業員を保護およびサポートするための措置を講じている」と述べている。
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